第4回シニアギターコンクール入賞者インタビュー

inギター文化館

入賞者インタビュー、ここに一挙紹介します。インタビュー by ギターの時間


——ギターを始めてどのくらいですか?
黒江:小原先生に習って39年になります。ですから学生時代から。1回コンクールに出て賞をいただいたことがあります。モレノ・トローバ・コンクール(1970)といいまして、あの作曲家のモレノ・トローバが日本に来たときに催した大会でした。そこで2位になりました。

——すごいですね。
黒江:いや、まあ・・・(笑)。ただそこで僕以外の1位から6位の方はプロになられたんですが、僕にはどうしてもプロで食っていくという自信が起きなかったんです。で、とりあえずやめて仕事に就きました。 ですからその後15年くらい、じつは中断したんです。だから正確に言えば復帰〜再チャレンジし始めて7、8年になります。でもその中断していた間も、聖子先生はギター連盟をやっていらっしゃるので、その連盟のコンクールをスポンサードする立場で今年でもう20年くらいギター界とは関わって来ました。

——そうだったんですか! 失礼ですが仕事の内容は?
黒江:欧米から半導体を輸入して日本のお客様に売る、という仕事です。1年の半分は海外にいるという仕事ですが、でも去年から半導体は大不況なので、とくに今年はギターを練習する時間がたくさんとれたんですよ(笑)。

——そうすると今は一日のギターの時間はどれくらいですか?
黒江:1日30分ですかね。僕は曲の練習しかしないです。今回で言えば、課題曲をやって自由曲を2回やったらもう30分ですね。そんなにできないんですよ。
  基礎練習とかやる方もけっこういると思うんですが、僕は指が痛くなって来ちゃうので。

——今の課題はなんですか?
黒江:今の課題は。まあコンクールに出て賞を取ることかな。それがギターに対する恩返しになると思っているので。

——愛用のギターについて教えてください。
黒江:横尾俊介さんの作で2008年の6月に作っていただいたものです。弦長は650mm。ギターは海外製作家のものも持っているんですが、今回はこのギターフェスティバルに横尾さんも講師でいらしてるし、日本のギターを弾きたい、それでギター界に横尾ありっていうのを不肖ながらも僕自身の演奏で示させていただけたら、と。だからじつのところ、賞をいただけてほんとによかったです。


——ギターに関連する小遣いは?
黒江:弦代くらいですかね。

——楽譜は?
黒江:現代ギターの通販で買ってます。なにかいいのがあると、注文させてもらって。なるべくいい曲、人が感動する曲を弾きたくて、そういうのを探しています。ギター曲はつまらない曲もありますから弾く曲は選びたいですね。今日の自由曲選曲もそういう意図があります。
 そもそも私はギター人口を増やしたい。ギター好きの仲間を増やしたいと思ってギターを弾いているんです。自分のためというよりもね。そうやっていると、なんでもうまくいくんですよ。仕事もそうですから。

——「ギターの時間」も志の根っこはいっしょです。参考になりますね。 ところでお好きなギタリストは?
黒江:小原さんの演奏はいつも聴くと感動しますし。好きです。

——小原安正先生とも交流がありましたか?
黒江:ええ、昔は先生の代行もやったことがありました。でも生徒さんは僕なんかよりずっとうまい人が何人もいらっしゃるから困っちゃって(笑)。ほんとたいへんでした。

——黒江さんのほかの活動の場、発表の場というとどこですか?
黒江:今、鹿児島の指宿(いぶすき)で音楽祭をやっています。ここにチャリティーコンサートで主催の一員として参加しています。友達がNHKのテレビに関わっていて、その彼が中心にボランティアでやっているんですが、そこに一枚僕も加わって、去年は12万円寄付しました。指宿は日本で一番南の駅で、お茶とお菓子をサービスしているんです。今年は11月21、22日にやります。遠いんですけどね、指宿市が後援していて、チケットは500円で売って11万円くらいの売り上げですね。これに市から補助が出る。そこに私が12万円寄付したわけです。好評でしたよ。
 今年はだれを演奏者に呼ぼうかっていま企画中です。指宿のコンサート会場は、じつはパワースポットなんですよ! そこへ行くとみんな元気になりますから(笑)。

シニアの部
第1位

黒江春海

東京都渋谷区/57歳
自由曲:プレリュードBWV998(バッハ)、ラ・ミラネーゼ(クレンジャンス)、エチュード(ソル)
interview
HARUMI KUROE