第4回シニアギターコンクール入賞者インタビュー

inギター文化館

入賞者インタビュー、ここに一挙紹介します。インタビュー by ギターの時間


——ギターを始めてどのくらいですか?
上原:13歳でギターを始め、大学まで約10年間続け、社会人になって止めました。2008年春に再開しました。ギター暦はブランクがありますので、実質11年位です。
 最初はフォークギターで、かぐや姫やアリスなどの曲を仲間とバンドを組んでやっていました。兄の影響で私も「禁じられた遊び」や「アルハンブラ〜」や「魔笛〜」などのLPを聴いたり、真似事で弾いていました。クラシックギターを本格的に始めたのは高1でギタークラブに入ってからです。コンクールにも挑戦し、高校時代に沖縄ギターコンクール中級の部で3位、大学時代には九州 ギター音楽コンクールで3位に入りました。就職して社会人になり次第にギターから離れ、20数年経った昨年、何故か無性にギターが弾きたくなりました。

——先生についていますか?
上原:高校時代は沖縄で玉城隆先生に習っていました。1~2年ぐらいでしょうか。大学時代は福岡で中野義久先生に1~2年習っていました。現在はどの先生にも師事していません。

——今の課題はなんですか?
上原:今の課題は、学生時代の感覚を取り戻すことと、新しい表現を取り入れることです。 曲目も昔弾いていた曲はほとんど全て忘れていますので、少しづつ思い出してさらっている状態です。 20年ぶりに再開して一番戸惑っているのは、人前で弾く時の心理状態の違いです。緊張感で上がってしまいます。ここ半年ぐらいは月に2~3回は人前で弾ける場所に出かけて、なるべく多く人前で弾くようにしています。
 あとは、音量にはこだわりを持っています。きれいな太い音で大きな音、 これを常に意識してタッチを研究しています。

——今ギター演奏に関連する悩みはありますか?
上原:プレッシャーに打ち勝つ方法を模索しています。 如何に自宅で弾けている力をステージ上で出せるようにするか、ということです。
 出来れば先生に就いて習いたいです。 独学ではいろいろな面で限界があります。

——1日にギターに触れる時間はどのくらいですか?
上原:会社員ですのでウィークデーはほとんどギターは弾けません。30分から 1時間弾ければ良い方です。弾く時間は夜10時前後です。土日の週末は2~3時間ぐらいです。今は時間があっても連続で何時間も弾くことは避けています。1時間弾いたら1時間休憩して、また1時間弾くと いうようにしています。腱鞘炎予防です。体をいたわりながら末永くギターを弾いて行きたいと思っています。

——練習ではどんなことから始めますか?
上原:特に決まったスケール練習やアルペジオ練習などのメニューはありません。セゴビアのハ長調のスケールや、アグアド等のアルペジオ練習曲の一部を弾くことはあります。 指馴らし的に弾いているのは、アランフェス協奏曲の中に出てくるスケール練習が一番多いです。その他ではモーツアルトのトルコ行進曲などもスケール練習代わりに弾いています。

——自宅でギターを弾く場合、時間帯によっては 音量が問題だと思います。 家族との折り合い、近所付き合いはどんなぐあいですか?
上原:大体リビングで練習していますが、家族がテレビを見たい時にはギターは寝室や子ども部屋で弾いています。自宅の防音性能は結構ありますので、ご近所さんにはほとんど音が漏れません。

——愛用のギターについて教えてください。
上原:メインは河野賢の20号です。1978年、660mm、表板は松で、横裏はハカランダです。音量もあり音色も繊細なタッチに応えてくれるので信頼して使用しています。サブ機として弦長650mmのアストリアスを持っています。 この楽器は1985年に九州ギターコンクールで3位になった時の賞品です。表板は杉で横裏はローズウッドだと思います。
 使用している弦は河野には高音弦はオーガスチンのリーガル、低音弦はオーガスチンの青です。アストリアスにはハナバッハのシルバースペシャルのスーパーローの高音弦とオーガスチンの赤の低音弦です。 河野は1978年、高校1年の時に新品で購入しました。20万円は当時としては高価だったと思いますが、十分に元が取れる買い物だったと思います。


——ギターのどんなところがおもしろいですか?
上原:自分で音を作り上げていけるところが魅力です。ギターは弾く人の個性がかなり音に反映されますので、同じ楽器を弾いても全く違う音がします。

——爪の形はいつ頃から今のかたちに落ち着いていますか?
上原:学生時代から今でも同じように整えていますが、その形に満足せず常にいろいろな試行錯誤をして、今の自分のタッチに合ったより良い形状を模索しています。 昔と違うのは、今は爪の右側(小指側)をタッチに取り入れることを意識して爪を磨いています。爪の右側でも左側でも良い音が出せるよう に意識しています。

——ふだんの仕事で指先の怪我など注意することがありますか?
上原:仕事中の何気ない動作で爪を割ってしまう危険性は常にありますので、何か物をつかんだりする時は極力左手を使うように心がけています。ボーリングなど爪を傷める恐れのあるレジャーなども極力控えています。

——ひと月あたりギター関連の出費はいくらくらいですか?
上原:弦、コンサート、楽譜、雑誌などの購入費として5千円~1万円程度です。

——お好きなギタリストは?
上原:30代位までのジョン・ウイリアムスが大好きです。セゴビアやブリームの表現力も魅力的です。その次の世代ではデイヴィッド・ラッセル、山下和仁、マルコ・タマヨも素晴らしい演奏家だと思います。
 クラシックではありませんがアル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアのアコースティックギターと フラメン�Rギターのギターバトル「地中海の舞踏」には打ちのめされました。 特に『エレガントジプシー』と言うアルバムに収録されているスタジオ録音版がお気に入りです。

——お好きなギター曲は?
上原:バッハの曲を弾くのが大好きです。他の作曲からは得られない、音楽の奥深さや喜びのようなものを感じます。 オリジナルではブリテンのノクターナル、ヴィラ・ロボスの前奏曲や練習曲が好きです。 特にヴィラ・ロボスはギターを知り尽くした作曲家ならではの独特の質感が好きです。 テデスコやポンセのソナタもいつか弾いてみたい曲です。アランフェスやテデスコの協奏曲も大好きでいつか弾くのが夢です。

——今活動の場(発表の場)はどこですか?
上原:昨年11月に千葉で「千葉ソロギターサークル」という独奏主体のサークルを立ち上げて、 毎月「ステージ練習会」と言う練習会を開催しています。人前で弾く機会が少ない千葉で練習の場を確保したいとの思いから設立したものです。 年に何回かお客さんを呼んで発表会を開催していく予定です。 その他mixiのプチ発表会や神奈川のアランフェスサークルなど、ここ数年盛んになってきている愛好家が集まって弾き合う練習会にも参加しています。 コンクールはシニアコンクールの他、9月の埼玉ギターコンクール、1月~3月にかけて行われる日本ギター連盟のコンペの3つを今後挑戦していく予定です。

ミドルの部
第5位

上原 淳

千葉県千葉市/47歳
サラバンドとドゥブル無伴奏ヴァイオリンパルティータNo.1BWV1002より(バッハ)、プレリュードNo.4(ヴィラロボス)
interview
SUNAO UEHARA