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楽しみと喜びの時間。斎藤松男ギター・コンサート

 11月12日東京・武蔵野市民文化会館で、斎藤松男ギター・コンサートが開催された。プログラムに並ぶ曲はどれもクラシックギターを弾くアマチュアが必ず取り組むポピュラーな名曲の数々。とくに初心者、万年中級者にとってはきらめきを放つあこがれの曲たちだ。こういう作品が並ぶとコンサートの開始前から、みょうにわくわくさせられる。
 開演。格調高くバッハのパルティータ・イ短調からスタート。ソルの2つのメヌエットと続き、空気は一気にシリアスなクラシック・ギターの世界。しかし、このあとは、一転、同じクラシック・ギターでも、人気のある小品が続く。このあたりから、斎藤松男さんの本領が発揮されてくる。

 斎藤さんの演奏は音が深く優雅だ。愛器は手に馴染んだラミレス。そして、弾く指を弾いた弦の隣にあてながら弾く難易度の高い奏法=アポヤンドを巧みに操り深く豊かな音の表情を作り出す。「粋」だ。お洒落というか。ギタリストであることを目指す人に憧れを感じさせ、音楽を愛する人に音楽の楽しみと喜びを感じさせる。
 後半は、自身の編曲作品を交えた演奏。思わず、自分も弾きたい! と思わせる、この魅力はなんなんだろう? 達人というより“名人”。

 斉藤さんは、今年、東日本大震災直後、そしてその後の復興がなかなか進まない中、自身の故郷でもある岩手など、避難所への慰問演奏活動を行ってきた。9月には、趣のある古民家で「クラシックギターとワインの夕べ」を行った。地元産のワイン片手に、演奏者を囲んでクラシックギターを楽しんでもらおうという企画のミニコンサートだった。その夜は80人ほどの人が斉藤さんを囲んだ。(右:「岩手日日新聞・9月25日」より)
 日頃接する教室での日常の他、こうした活動を通じて培われたであろう「心に響く音楽」が、このステージでも再演された、ということなのではないだろうか。ギターの奏でる音楽の魅力は広く、深い。技術だけでは決してカバーできないその深さを再確認する充実した楽しいひとときだった。

第1部
パルティータ イ短調(バッハ)
2つのメヌエット(ソル)
プレリュードNo.11(タレガ)
マリエッタ(タレガ)
入り江のざわめき(アルベニス)
わが道(サビオ)
タンゴ・アン・スカイ(ディアンス)
マズルカショーロ(ヴィラ=ロボス)
プレリュードNo.1(ヴィラ=ロボス)

第2部
グラナディーナス
11月のある日(ブローウェル)
恋心(マチアス)
帰れソレントへ(ナポリ民謡)
コーヒールンバ(ペローニ)
エストレリータ(ポンセ)
アルハンブラの想い出(タレガ)
アストリアス(アルベニス)

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