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マンドリンインタビュー

クボタフィロプレスNo.2「第18回定期演奏会への道」:インタビュー編

「ギターの時間」特別企画「KUBOTAPHILO PRESS」はクボタフィロマンドリーネンオルケスター(ギターの時間では“クボタフィロ”と略記)の関連記事を集中取材/公開しています。第2号です。

クボタフィロマンドリーネンオルケスター2月の定期演奏会に向けての練習を取材した。会場に到着すると、ドア越しに「美しき青きドナウ」の一節が聴こえている。この日練習に参加できていた人数は、練習日程が急遽変更になったこともあり、普段の約半数? であったが、曲の雰囲気がバランスよく伝わってくる。お昼休憩の時間を利用して久保田孝先生とコンサートマスターの高柳未来さんに話を聞いた。

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ーー先ほどの「美しき青きドナウ」は、合わせたのは今日が初めてだったそうですね? それに楽譜は初見の方もいたとか。今日は何時から練習がはじまったのですか?

久保田:9時に集まって合奏体系のセッティング、その後、全員で基礎練習をして10時くらいから曲に入りました。


ーーもう既にほぼ形になっていたのに、初見の人もいらっしゃると聞いて驚きました。ところで、今回のテーマであるヨハン=シュトラウス、はどんなところから企画されたのですか?
久保田:いままでマンドリンでワルツは難しいと感じていました。確かに難しいのですが、でもかなり表現できるとは思っていました。実際いままでの演奏会でも単発では何回か採り上げてきましたし、それはそのときどき、結構好評でした。
一方、定期演奏会は毎年テーマを決めてやってきています。前回はイタリア・スペイン特集でした。企画としては“一人の作曲家の曲を集めて”というテーマでもやってきています。そこで、今回は定期演奏会のテーマとして「ウィンナワルツ」にしました。当初これは一般的で軽いかなと思ったのですが、やってみたら全然軽くなくて(笑)。
ーーウインナワルツはポピュラーなところは知っているので、マンドリンでやったらどうなのかなと、さっきまで考えてきました。先ほど少しだけですが聴かせていただいて、いや、かなり雰囲気が出るものだな、と驚きました。
久保田:マンドリンでも充分出せるでしょ?
ーーはい。雰囲気が出せるのもそうですが、管のパートも既にマンドリンに置き換えられていますよね? その編曲がうまくできているのだなと感じました。「ここの主題、ホルンのはず」というのを、その場所を通り過ぎてから思い出しました。
久保田:やはり編曲にかかってきます。編曲はすでに音があるわけですから易しいといいますか、安易に考えられてしまいがちですが、実はとんでもないことで、作曲ができなければ難しいことなです。
ーーそうなでしょうね。新しい作曲みたいな感じですよね。
久保田:そうです。しかも作曲はいってみれば作る側がどうにでもできるのですが編曲はもとがあるから、それを崩すわけにはいかないですし、生かしていかなければならないから難しいです。


ーー今回のテーマであるウィーン、ワルツは私のイメージにあるクボタフィロにとても似合いそうに思います。
kubota004.JPG久保田:そうですか、それはうれしいです。
ーー練習についてお聞きしたいのですが、やる曲が決まっていて、それなりに曲に対するイメージもあると思うのですが実際に音を出してみて演奏者の立場としてどうでしたか?
高柳:原曲は有名なので知っていましたし、音を出したときの違和感はありませんでしたね。個々の演奏方法について最初は、ここはトレモロで弾くのか単打なのかそれでニュアンスも違ってくるので、先生に相談しながら進めました。
ーーその「トレモロなのか単打なのか?」は、編曲時点で久保田先生の中にイメージはあるのと思うのですが、実際に演奏して細部が練られていくにつれて変わっていく部分はありますか?
久保田:あります。編曲する時点で思ったことは書いておきます。やってから決めようというのもありますし、あるいは当然と思って何も書かないで練習に望んで、団員からどっちですか? と質問されたり。それで「じゃ、やってみよう」となることもあります。
ーーそうですか。
久保田:とにかくイメージをしっかり持って、それに沿うような弾き方を選んでいくということです。
ーーなるほど。演奏会の会場である紀尾井ホールの響きは残響が適度にあって余韻がきれいですよね。それに対して、今、この会場練習場は残響はなく、とてもドライに聞こえます。その差は大きいと思うですが、そのへんは常に想定していることなのですか?
久保田:あそこはとてもマンドリンに合った音響だと思っています。ずっとやっていますし、特に心配はしていません。
ーーそうですか。それと音の骨格が、今日の練習のように人数が少なくても全体の音の形がとてもバランスよく聞こえました。(動画では撮影ポジションをときどき移動しているので、それにつれてマイク位置が変わり、聞こえ方が一定ではありません。)
久保田:音の質はもっとここは大勢いた方がいいと思うところはあります。今日の練習にはコントラバスがいませんが、入ることを想定して聴いていますし、今日はローネが頑張ってやってくれていますから。
ーー今日、この人数によって構成される場のバランスをとっているということですか?
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久保田:そうです。その場のバランスをとっていかなければだめです。この場でもって聴こえるように弾いてもらいます。マンドリンもステージで並ぶように3つのパートが並びますが、休んだ人がいると偏りが出ますね。そのときはその場でバランスがとれるように弾いてもらうようにします。
ーー演奏する側としては負担ではないですか?
高柳:臨機応変に、機転が利かないと大変ですね。Divで弾く場合、1つのパートの中でパートを分けていてもその日の出席状況であるパートがいないこともあります。そのときは今はいないパートを弾いてくださいと、他のパートから臨時に移ってもらう事も多いので、それはみな慣れていると思います。
久保田:その場でちゃんとバランスのとれた演奏をしないと楽しくないですし、自分のパートしか弾けないというのでは他を聴いていないのに近いですよね。
ーー他のパートが何をやっているか常に聴けていないといけないということですね。
久保田:それは本番当日ホールに行ってからも同じなんです。ホールのリハーサルでもその響きに合わせ、そこでバランスをとる微調整をするわけです。
なるほど! この今日の合奏に余韻が加わったらどうこえるのだろう? 余韻の少ないところでの練習は本番会場に対してどうイメージすればいいのか。難しいのでは? 低音が補強され本来想定する構成になっときのバランスは? などという疑問は無用だった。
一方、ここの団員の音楽性は、想像以上に幅広い気がする。異なるパートへその場で「スイッチして」といわれても、音は知ってるがいざ演奏となると、なかなか容易ではないのではないだろうか。また、音量の調整。「強く」と言われて、「どの程度ですか?」と本番当日確認しないでも修正できるお互いの了解度、応用力。根底には読譜技術、演奏技術の共通理解がある。これら、音楽演奏上の基本技術が身についているメンバーで、クボタフィロは構成されている。演奏希望者の中から一定レベルの試験を通過した団員たちなのだ。といっても、そこに至る道は、音楽の楽しさに満ちている。老若男女で構成されているこのオーケストラの面白さでもある。休憩時間のにぎやかさからもそれがわかる(笑)。
年末から年始〜本番直前まで、この修正は続く。さらに本番ではエキストラ演奏家が加わる予定だ。最終的な姿をこの動画から想像できるだろうか? 団員にとっては一直線上にある“進化”を遂げるはずだが、団員以外でそれを想像できる人はどれだけいるだろうか? さて、実際どんな作品に仕上がるのか? ぜひ当日あなたの耳で確認してください!
第18回定期演奏会チケットの入手方法
クボタフィロマンドリーネンオルケスター入団希望者は事務局宛連絡をどうぞ
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