ギターの時間|gtnjkn

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マンドリンインタビュー

ARTE TOKYO デビュー6/19 第一生命ホール(東京・晴海)

京都で旗揚げし、同じく京都〜関西を基盤に活動してきたARTE MANDOLINISTICAが、東京圏でもより活動を積極的に展開するべくARTE TOKYOを発足した。きかっけの大きなポイントに、メンバーの東京移動等があげられている。ある程度の人数を要するマンドリン・オーケストラの活動を、関東と関西で自由に行うための日本のマンドリン事情に合った実務的展開に思える。が、同時にこの環境作りがマンドリン界に及ぼす影響は、とても大きいものにも思える。旗揚げ公演を一ヶ月後に控えた今、主宰する井上泰信氏に、聞いた。

ARTETOKYO設立の経緯

ーーARTE TOKYO設立というのは、ARTEの公演がこれまで以上に東京で聞けるチャンスが増えるということですよね? これまでの関西、関東のマンドリン/音楽事情を改変しそうですね!

井上:まず京都を中心に活動するARTE MANDOLINISTICAですが、基本は全員が学生もしくは社会人というアマチュアですので、どうしても学業や仕事を優先せざるを得ません。特に社会人になってからの総合職の関東圏異動はよくある事です。
今までは交通費を負担して京都に通う、あるいは活動を休止する事が多かったのですが、今回の立ち上げによってそれらの負担が大きく軽減され、また東京に異動してもARTEがあるという安心が生まれると思い、立ち上げに至りました。
また私自身が東京での個人レッスンを行っていますが、その生徒たちには結局「他の」合奏団を紹介しなくてはいけないという引っかかりがあった事も永年の悩みでした。また、指導校の卒業生もそれなりの数が関東圏におりましたので、それらを全てミックスしたのが今回の「ARTE TOKYO」です。

ーー野望というより、実情に即した面が強いと?

井上:「東京でひと暴れしたい」という気持ちよりも、団員にとって「東京にも自分の居場所がある」事が何よりの結成の目的です。実際に過去に所属した合奏団の「空気」があわずに退団・・・というのはよくある話です。
ARTEの活動のまず第一は「出来る限り音楽を楽しみ、マンドリンを永く続ける事」と「お客様が喜んで頂けるために、組織しての活動を行う事」の2点があります。
これらを遂行できる合奏団として、今後とも末長く活動していきたいと考えています。

現在70名弱の団員がおります。その中心はARTE関西のメンバーと、私の友人や生徒、及び指導校の卒業生が殆どです。「縁」を大事にした仲間作りを心掛けています。これはARSNOVA時代から変わらないスタイルです。

ーーそういう面があったんですね? その流れで、しかし改めてARTEの想いが込められた東京に対する挨拶といったプログラムという気がします。

井上:選曲はメンバーの個性が活かせる、その時々の編成を意識したものです。後半のプログラムは現在関東圏で活躍する丸本君の作品をメインに置いています。

丸本君は彼がまだ大学1年生からの付き合いで、その頃は秘密で内緒で曲を作っていた程度でしたが、ある時にそれが僕にバレてしまった事をきっかけに、マンドリン作品を書く(書かされる・笑)ようになりました。僕自身も「杜の鼓動」をはじめ、指導校を通して彼の作品の多くの初演に携わる事が出来ました。
彼は今では「人気作曲家」の地位を築きあげましたが、東京に来てからというもの、多くの葛藤や悩みを抱えている事も事実です。その悩みは作曲者としての作品に対する悩みでもあり、人生をこれから歩んでいく上での一人の人間としての不安でもあります。そしてここ数年、彼の作品の方向性が若干変化してきているのも事実です。昨年初演した「櫻の風景」もそうでしたが、過去への回想が作品のテーマになってきているのは、今の彼の心境そのものだと感じています。

作品と作曲者と演奏家の間に必要なのは、「いい演奏をして欲しい、そしてこんな思いがこの中にあるんだ」という作曲者の作品を通してのメッセージと、そのメッセージに全力で応えようとする演奏家の「思いやる気持ち」という、双方間の信頼関係だと思っています。実際、そういう信頼関係の成立してない演奏に出くわす事も多くあります。

今回の選曲はそういう意味で、僕自身の丸本君への今後の期待と、団員からの友情とメッセージの詰まったプログラムだと言えます。アマチュアらしい「気持ち」の入った演奏にできればと思います。

ーー楽しみです! 大勢の人に体験してほしいとほんとうに思います。同時に井上さんもメンバーも大変だと思いますが、今後の予定も気になります。なにか決まっていることがあれば教えてください。

井上:2012年1月14日(土)に同じく第一生命ホールに於いて「NEW YEAR CONCERT 2012」を開催します。これはマンドリンを知らない人を対象にするコンサートで、ARTE(本隊)が毎夏に続けてやってきたコンサートの東京版です。今回はゲストに映画「千と千尋の神隠し」で有名な歌手兼ライアー奏者の木村弓さんをゲストにお招きし、未来の担う子どもたちの為のコンサートを企画しています。もちろん大人も楽しめるプログラムです。
来年のARTE TOKYO公演は6月24日(日)同じく第一生命ホールにおいて開催します。ここでは末廣健児君の作品をメインのプログラミングを予定しています。

■ARTE TOKYOの旗揚げ公演。一人ひとりは「ふつうの」アマチュア・マンドリン愛好家のように見える。でありながら、ARTEとして彼らが集まって作り出す音楽は・・・! 聴き慣れたはずのイタリア・マンドリン・レパートリーはどう響くのか? ぜひあなたの耳で確かめてほしい。


■ARTE TOKYO 結成公演

2011年6月19日(日)
第一生命ホール 13:30開場 14:00開演
入場料:一般 :2,000円/学生 :1,000円
■チケット問合せ:artetokyo@gmail.com
■問合せフォームhttp://www.arte-mandolin.com/concert/forms/ticket_form.html
■演奏曲目
マネンテ 交響曲「マンドリン芸術」
ボッタッキアーリ ロマン的幻想曲「イル ヴォート」
ファルボ 組曲「スペイン」
丸本大悟 Planetarium
丸本大悟 委嘱作品(初演)
末廣健児・丸本大悟 ARSNOVA組曲

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