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マンドリンインタビュー 編集速報

クボタフィロ、2/24に向け順調な仕上がり。しかし・・・

kubo18 本番の第20回定期演奏会(2月24日東京・紀尾井ホール 14時開演)まで残すところ2週間となる2月11日、およそ2か月ぶりにオケの練習を訪問してみた(撮影:かえるカメラ)。

 20回。93年に結成され94年に第1回公演を行い、そこから20年。この節目を記念して、今演奏会のプログラムは、久保田さんのオリジナル楽曲で構成されている。かつ、このオケのファン投票により選ばれた「傑作選」。改めてクボタフィロの演奏、とくに作曲家・久保田孝氏のオリジナル作品だけを聴いていくと、憂いを含んだメロディー、楽曲全体の構成美が深く印象に残る。ことに、今回選ばれた作品のうち、前回このコンテンツでも紹介した「舞踊風組曲第2番」や、今回取材時に取り組んでいた「序曲第2番」など、そのモチーフ、主要構成は若き日の留学先で創り出されたという話を聞くにつけ、樺太より北に位置するドイツやウィーンで学んだ日々を追想、連想させる。
 また、ブラームスのようなシンフォニックな響きとチャイコフスキーを思わせる和声を知り尽くした上でのオケの美学が交配し、マンドリン合奏であるがゆえに創り出される光沢、テクスチャーが生まれている。この空間に身を置くのは、とても贅沢な時間だ。

[flagallery gid=37 skin=photo_pro_demo name=Gallery] オケのサウンド、音色は、こうした仕上がりに無縁ではないと思う。しかし、ざっと見渡しても、高額そうな、いわゆるヴィンテージ楽器などは、どうも見当たらない。休憩時間にそのことを訊ねた。端的に行って、よい楽器、高級な楽器が揃うことが、よりよい表現には不可欠ではないのか? と。

[flagallery gid=38 skin=green_style_pro_3_demo name=Gallery]▲各パート、トップさんの楽器

久保田:楽器はそれぞれが、そのとき手に入れることができるいちばんいいものを持ち寄れば、よい。という考え方です。ただし、3つ重要なことがあります。大事なのはフレッチング、コマの位置。絃が新しいこと。あとは、音の出し方、鳴らし方は練習してを統一していけばよいのです。場合によってはピッキングの位置を微調整していきます。どのメーカーに統一する、とかいうことは考えていません。たまたま、今の各パートトップの楽器は〈落合〉と〈大野〉が多いのですが。

——楽器がバラバラでも全体で「こういう音を出せ」といって、コントロールしていくわけですね?

久保田:僕はかなりわがままにこういう音を! という要求をします。それぞれの楽器によって個性はありますから、無理難題は言わない。かわりに揃うための工夫は、個々に、その場その場で検討します。よくやりますよ。

——奏者の技術に関連することですね。

久保田:そうですね。アンサンブルの中で、どうも硬い音がある、というのを見つけた場合は、「もう少しこっち側で弾いてください」と、ピッキング位置を指示したり。そういうことです。
 ただし、そうはいうものの、その指示通りにだけ弾いてくれる、というのは、じつはつまらない、という思いもあります。その指示を越えて、奏者のイマジネーションでもっとやわらかく弾いてくれたり、とかね。

——そういう活きたコミュニケーションが音の中で展開しているんですね! 一人の演奏=イマジネーションがオケ全体の音に反映して即興的に音楽のダイナミズムを創り出すんですね!

久保田:それができるオケは、おもしろいですよ(笑)。

——ところで、まもなく本番ですが、練習が重なっても根本的なところでご自身の作品、聞こえ方が変わることはないと思うんですが、どういう練習されているんですか?

久保田:実際に繰り返し演奏してみると、じつは手直ししたくなる、というところが多少でてきます。今日練習していた中では、ゆっくりしたフレーズで、どうも合わない、というところがありました。マンドリン合奏のトレモロだからピタっと合わないといけない。

——ヴァイオリンのように短時間の中で徐々に頭が揃うということができないからですね?

久保田:そうです。タイミングがとても重要です。何回もやっている曲ですが、これまで見過ごしていた部分です。そういうのが、見ていくと出てきますね。そういう所をこだわって合わせていったり、また、一応は出来ている所を、さらに「欲を言えば」というレベルで練っていったりすると、より完成度の高い、より趣味の良い演奏になっていく、そういった練習が出来ることが楽しいですね。

——音符を変更するのではなく、同じ作品で、演奏を重ねて来たからこそ気がつく表現の追求ですね。完成度が高まるということ・・・?

久保田:それにプラスされるものがでてきます。成長というか。オケも指揮者も。

 「しかし・・・」と思った疑念は杞憂であった。同じ作品を演奏し続けてきたことによる成果。これを聴けることが「クラシック作品の醍醐味」だ。クボタ フィロマンドリーネン オルケスターの醍醐味は、まさにここにある、といってよいと思う。
 2月24日、残席僅少!!

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