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マンドリン演奏会報告

新たな船出。ビアンカフィオーリ21回目のテイクオフ

第21回定期演奏会 第一生命ホール2012.7.8 撮影:かえるカメラ・ギターの時間
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イタリアマンドリン合奏で育った若者が、東京で旗揚げし、同好の志を集めて発展してきた楽団が、アンサンブルビアンカフィオーリ(以下ビアンカと表記)だ。昨年の定期演奏会は、20回を数えた。
 様々な思いが交錯しながら作り上げた昨年の公演は、その20年の集大成であっただろう。今回そこからさらに次の目標を見据えるべく組んだプログラムには、初心に還ることが、ひとつ、大きなテーマとして織り込まれたようだ。

一方、新しいメンバー一人一人にとっては、次々に迎える一年一年の積み重ねこそが、歴史だ。その新しく重ねる時間の中に意図せずとも根幹を通して流れるビアンカフィオーリ魂は、聞こえている。それを、どこまで意識し音に映し出せるか?

 ビアンカが旗揚げした20年前、関東には目立ったマンドリンオーケストラはけして多くはなかったと聞いた。今年40周年を迎えた団体もある。関東の大学マンドリンクラブも1世紀にわたる古い歴史を持つ。が、社会人団体として、明確なビジョンを持ち活動する団体は少なかったようだ。しかも「イタリア・マンドリン音楽」をレパートリーの核に据えた団体となると、なおのこと、なかったようだ。
 同時にこの団体の素晴らしい所は、最初から“愛好家の集まり”に終わらせるのではなく、このオケで世に「イタリアマンドリン音楽」を知らしめていきたい、という大きな目標もあった点だ。

 かくしてビアンカは、数年にして“純粋な浪漫派マンドリン音楽”(故・市毛利喜夫氏による評)を演奏するオーケストラとの評価を得た。その音楽を慕って集まるメンバーもたちまち増え現在に至る。が、代表・山本一俊さんによれば、オケは人数が増えることで迫力も増した。若い団員はみなうまい。しかし!近年は、初期メンバーで作り上げ得たその構築美・音楽的バランス、まさにビアンカフィオーリらしい個性が、どうかすると希薄になりがちで、そこが気がかりである、というようなことを話しておられたことがある。そのへんをどのように解決し、かつ次なる目標を設定するか? 
 そして山本さんはプログラムにこんな一文を寄せた。
 “規模が大きくなるにつれ、オーケストラとしての精度をより向上させることも課題の一つとなりました。木下氏の練習は、団員一人一人がその課題を突き付けられ真剣に取り組む機会となりました。”
 なんとも贅沢な悩みに思えるが、しかしオケの重要な存在理由だろう。木下氏は関西でエルマノマンドリンオーケストラを主宰し、再来年50周年を迎えるという。同志社育ちで関西で活動してきた木下さんの門下として育ったメンバーは、ビアンカにも多い。リハーサルでは、さまざまに指摘され指導されるその一言一言にみなうれしそうにうなづきながら、音楽を作り上げていた姿が印象的だ。短いながら、その体験の上で披露されたのが、今回のステージだ。

 「イタリア・マンドリン」を愛する気持ちが鮮明に響くコンサート。序曲やマーチのリズムの余白に19世紀〜20世紀のロマンが響く。そこから出発する意思表明が、響いたコンサートだったと思う。このことはぜひ機会を見てじっくり触れたい。次は、より自由な「ビアンカフィオーリ」が、聴けそうで、いまからワクワクする。

 なお、8月11日京都公演が予定されている。京都で育まれた種が東京でどのように花開いているのか? ぜひ関西近郊のマンドリンファン、音楽ファンにも聴いてほしい。

アンサンブル・ビアンカフィオーリ京都演奏会
日時
:2012年8月11日(土) 16:30開場/17:00開演
場所:長岡京記念文化会館(→)
入場料:1,000円(当日1,500円)
曲目
序曲ニ短調
S.ファルボ
組曲「田園写景」
S.ファルボ
海の組曲(客演指揮:木下正紀)
A.アマデイ
叙景的幻想曲「イル・トルネオ」
O.カルリーニ/石村隆行
フルート協奏曲第7番第1楽章
F.ドヴィエンヌ
叙景的戯曲 四旬節の謝肉祭
G.フィリッパ/中野二郎
チケット取り扱い:

(有)絃楽器のイグチ 電話:03-3378-5357 チケット購入は→こちらから
(株)フレット楽器オザキ 電話:075-256-2072
フレット楽器ヤマサキ 電話:06-6948-8239
(有)中川弦楽器 電話:06-6942-9992

アンサンブル・ビアンカフィオーリ第21回定期演奏会〈東京演奏会〉
(2012年7月8日(日) 14:00開演)
第一生命ホール
曲目:
序曲ニ短調S.ファルボ
組曲「田園写景」S.ファルボ
海の組曲(客演指揮:木下正紀)A.アマデイ
交響的間奏曲A.カペレッティ/松本譲
フルート協奏曲第7番F.ドヴィエンヌ
叙景的幻想曲「イル・トルネオ」O.カルリーニ/石村隆行≪本邦初演≫

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