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ニュース マンドリン演奏会報告

「プレ素」6回目の「音楽会」

 プレクトラム・ソサエティ 6回目の演奏会が4月17日東京・第一生命ホールで行われた。震災後、公演実施についてはメンバー間でも意見はさまざま。そこでともかく合奏してみて考えようと震災の10日後、楽器を持って集まり、演奏し、膝を交えて話し合った。その結果、下がり気味だったモチベーションに火がついた。「かけがいのない音楽を、ここにしかない響きをとことん追求しよう」と、意思統一が図られた。演奏会を開いて元気を出すというのもたいせつなこと。本番を迎えた小穴さんはうれしそうだった。

 プログラムは、いつものスタイルを崩さず2部構成。1部はイタリアのマンドリン・オリジナル曲。これをイタリア音楽育ちではない久保光司氏が振る。これは、考えてみればとても実験的というか挑戦的な姿勢だと思う。馴染みのある人には、新鮮な解釈の演奏が楽しめる。4作品とも実際比較的馴染みの曲、すくなくともマンドリンを聴き始めて3年目に突入したわたしにも3人は馴染みとなった名前だ。プレソのパンフレットには作家と作品に対し、必要最小限ながらわかりやすい解説が加えられる。団員二人以上が手分けして予備知識を与えてくれる。プラス団員自身の思い入れや感想と。

 2部はうって変わって、その年の実験的な意図も含み、いわば「特集」が組まれる。今回は3作品とも小穴さん編曲によるもの。
 マンドリンではなかなか耳にすることがないと思われるヘンデルの「水上の音楽」これは楽しみだ。続いて「ロマンス」(フィンジ)、「カプリオール組曲」(ウォーロック)。ともに現代よりの作家らしい。プレソならでは。新しい道を突き進む意欲に満ちている。
 小穴さんに本番前に解説を加えてもらった。


 本番の演奏について触れる前に、もうひとことパンフレットから。「今回のプレソはどこか曲がり角に居るような気がしていました」とある。マンネリもあるかもしれないというようなことも書かれていた。客席からはそのへんはわからない。でも第4回から聴かせてもらってきて、今回がいちばん面白い!と思えたのも確かだ。

 象徴的に聴いたのは「水上の音楽」の序曲〜アレグロだ。奏者、指揮者からみたらまた異なる意見もあるだろう。だが、聴いてみてほしい。輪郭と構造がこの音楽のスケルトンモデルを見ているような。それはピエール・ブーレーズがNYフィルを使ってラヴェル、ドビュッシー、ストラヴィンスキーを聴かせたような、一音一音の音符が手を組んで踊っている様子が「見えるような」音楽。これはおもしろい! 音楽の作られ方がくっきり見えるような面白さ。これは1970年代後半から一大ブームとなったスタッフに代表される「フュージョンミュージック」に通じると思えた。
 楽譜の解釈、実際の音の構造まではわからない。でも、音が踊っているように見えるし聴こえる。指揮者・小穴氏の踊り指揮する姿が音と溶け合っている。

 これが目指してきたひとつの姿というわけではないだろう。プレソは、また異なるベクトルをすぐに見つけて走り出すかもしれない。でも、こういうカタチ。同じ小穴さんが指揮するアメデオやKMC系オーケストラとも違う、プレソならでは、マンドリン合奏ならではのひとつのカタチなのではないだろうか?

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