ギターの時間、2009年11月18日号
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プラネットスピリタ(2)

ユニバーサルミュージックからデビューしたプラネット・スピリタ〜堀雅貴、丸本大悟インタビューの第3回です。マンドリンの世界で出会った2つの才能が、音楽の宇宙にデビューし、11月11日、ついに燦然と光を放ち始めました。あくまでマンドリンの愛らしさを損なわず、しかし、底知れないパワーも垣間聴かせるプラネット・スピリタ、デビュー作の制作現場、そして今後の話題です。

(interview:Kazutaka Ebe/photo:KaeruCamera)

準備。そして本番

ーーアレンジは、ヘッドアレンジだけでスタジオに行ったのではなく、作り込んだ状態だったんでしょうね?
丸本:ある程度は考えて行きました。堀君とはいつものようなところまで作ってあったんです。が、やっぱりスタジオで弾いてみると、その場で出し直したアイディアで「こっちがいいな」というようなのがけっこうありました。
堀:マイクを通して聞いてみると高い音が意外と硬すぎるんじゃないかとか。「じゃ、ハーモニックスに変えよう」とかね。「ここはちょっと音を足そうか」とか。
ーー自分の作曲した作品で、これまでとこのレコーディングとで変わったところや、聞き所は?
丸本:いままでのCDは、もともとは合奏から始まったんですが、今回はマンドリンの音色を大切に演奏するべきだと思ったので、音質とかタッチに気を遣ってますね。

ーーその音色選択の決定はどういうふうにしたんですか?
堀:まあ CDプロデューサーの篠原さんだったり、柴田さんだったり。あるいは「まず1回録って見よう」と演奏して、そのあと自分たちもコントロールルームに行って聞いてみて、実際の演奏がどう聴こえているのかを確かめたり、ですね。デ、「ああ、あれではだめだ、もっとこうしよう」というような試行錯誤はありました。「もっと明るくしよう」とか。だいたいの意見は同じ方向でまとまりましたね。
ーー録音した音はトラックダウンされてまた変わりましたか?
堀:変わりました。
柴田:でも音は最初からきれいに録れてましたね。
堀:でもともかく録音しているときは「こんなに拾うか?」っていうくらいマイクの反応がすごくよくて。よすぎて、音にシビアで。それと弾いているうちにだんだんポジションがマイクからズレて行くんですよ。するとエンジニアの方が来て、ミリ単位で修正して行く。セッティングもそれくらい精密でしたね。
柴田:すごい広い部屋だったんですよ。オーケストラを録音できる広さがありましたね。
ーーよく響く? いや響かないのかな?
堀:かなりデッドです。響かない。だから初めは、生音で演奏していたけどすぐにヘッドフォンに切り替えて。
柴田:わたしだったらパニくる。そう言う意味では2人の順応性はすごい。
堀:いや僕らもパニくってましたよ、かなり(笑)。ヘッドフォンで聴きながらやるようになってからはヘッドフォンなしでは演奏できないくらいになってしまいましたね。というのもお互いの音の確認の意味と、「どういうふうに聴かれるのか?」はヘッドフォンでないとわからないですから。
ーー選曲は?
柴田:4月くらいにはだいたいできていたんですが、最後の段階でビートのあるものがほしくて「奇跡」と「ホテルカリフォルニア」をあとから入れることにしましたね。
堀:この編曲は長谷川武宏さん、オルケストラマンドリーノを主宰している方で、僕の先輩なんですけど。
柴田:ビートの生きる編曲をしていただいて。そのほうが丸本さんの曲が生きるかな、と思ったので。
ーー「インマイライフ」は柴田さん推薦ですね?
柴田:そうです。
ーー落とした作品もありそうですね?
堀:ヴィバルディの「調和の霊感」とか。でもアレンジが終わっていて落としたのはなかったかな・・・。仕上がりを、ぜひ楽しみにしていただきたいですね。
ーー「かえるのうた」も入っていますね・・・?
丸本:最近、ネットでこの曲をやっている方をみつけたんですよ。ほかにいろんな童謡とかやってらして。で、それは僕らもやってみたいなと思ったし、ぼくらに合うんじゃないかな、って思って。
堀:ぼくはそういうことは全然知らなくて、あるとき一緒のときに丸本さんが何気なく弾き始めた。「お、なんか、いいな」って思ったんですが、よく聴いていると「ええ?かえるのうたじゃん??」って(笑)。なにかロマンチックに聴こえて。
ーーソロで弾いていたんですね?
丸本:最初はそうですね。
堀:今回は和音のつけ方が、いわゆる3和音だけじゃなくデュオであることのメリットでいろんな響きを出すことができたましたね。だからそういうアレンジ上のところでも、ソロではできない魅力が出せた作品のひとつかなと思います。


 結果、録り終わった作品は、どう並べるかでまた時間をかけて曲順も悩んだそうです。
「録り終わった後にいろんなパターンを考えてみたんですが、いろんな意見の結果、こうなりました。」(堀)
「最初の3曲はわたしの意見を通させてもらいましたが、あとは、いろいろな案の中から落ち着いて行きましたね。」(柴田)
「マンドリンの新しい表現をぜひ聴いてほしいと思います。」(丸本)
プラネット・スピリタ。現在のデジタル録音技術で、本格的にレコーディングし仕上げられたマンドリン・ミュージック。わくわくする輝きが始まっています。
(おわり)
Planet Spirita
▲マンドリン・デュオPlanet Spirita
(ユニバーサルミュージック 11月11日発売UCCY-1010¥3,000))
【収録曲目】
マンドリン協奏曲 第1楽章(A.ヴィヴァルディ)/キセキ(GreeeeN)/遠い日(丸本大悟)/ハープ協奏曲(G.F.ヘンデル)/かえるのうた(ドイツ民謡)/HOTEL CALIFORNIA(D.フェルダー, D.ヘンリー, G.フライ)/カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲(P.マスカーニ)/May(丸本大悟)/スプリング・ソナタ(L.ベートーヴェン)/リュート組曲第2番より 前奏曲(J.S.バッハ)/ピアノ・ソナタK.545より 第1楽章(W.A.モーツァルト)/イン・マイ・ライフ(J.レノン&P.マッカートニー)/Spirit of Planet(丸本大悟)/Lovin’ You (M.リパートン, R.ルドルフ)


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▲マンドリン・デュオPlanet Spirita
(ユニバーサルミュージック 11月11日発売UCCY-1010¥3,000)



柴田智子リサイタル
▲ 柴田智子 ソプラノ・リサイタル CD発売記念コンサート(2009年11月28日(土))に堀雅貴もゲスト出演!