ギターの時間、2009年10月27日号
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プラネットスピリタ(1)

ユニバーサルミュージックからデビューするプラネット・スピリタ〜堀雅貴、丸本大悟を紹介します。マンドリンの世界で出会った2つの才能が、音楽の宇宙にデビューし、いま燦然と光を放ち始めようとしています。その光が宇宙の隅々にまで届くのは、いまや時間の問題・・・。そんな強烈なイメージも似合うプラネットスピリタは、あくまでマンドリンの愛らしさを損なわないキュートな顔つきでデビューします。

(interview:Kazutaka Ebe/photo:KaeruCamera)

 マンドリン界生まれの新惑星「プラネット・スピリタ」誕生に至る大きなきっかけが柴田智子さんというソプラノ歌手の存在。自身、アーティストでありながら、2人の音楽性に惚れ込み、誕生までをプロデュースしてきた。
 柴田さん自身は彼らと出会う以前の2007年、半年は過ごすニューヨークでマンドリン音楽と出会い、マンドリンの響きに大きな啓示を受けていたという。その後出会ったのが2人と2人の音楽。自ら運営する音楽スペース「自由が丘オペラ座」を提供し、演奏に磨きをかけると同時に、音楽業界へパイプ役をかって出た。絃楽器のイグチ・社長である井口さんからの紹介を通じてプラネット・スピリタの一人、堀雅貴に取材し記事を制作、当サイトのコンテンツとして公開したのは2008年の夏。その頃既にプラネット・スピリタは始動を始めていたのだ。そして決まったレコーディングとCDデビュー。しかしそこからさらに演奏とユニットのコンセプトに磨きをかける。3人による誕生のための時間は1年近く続いたことになる。
 今は、「ここから先は見守るだけでしょうけどね」と柴田さんは言うが、音楽への熱意はこれまでも、そしてこれからも熱い。あるときは2人の師匠であり、ときには友達、先輩といった立場からさまざまな助言の元に彼らを育て今に至っている。
 こんな関係から、プラネット・スピリタは、株式会社T.S PROJECT INTERNATIONAL(社長=柴田智子)の専属アーティストとなっている。
 柴田さんを交え、3人に「プラネット・スピリタ」について聞いた。


ファーストコンタクト

ーー柴田さんが2人の音楽と出会ったときのことを聞かせてください。
柴田:最初、堀さん私のコンサートのステージで弾いて頂いたんです。そのとき、初対面だったのにしゃべるのが好きな少年ぽいところがあっていろんな話をしましたね。その後、彼はマンドリン音楽をもっといろんな人に聞いてほしいっていろんな資料を持ってきたり・・相談受けたりそんな事がかれこれ半年以上続きましたか。CDを出すならどんなレパートリーがいいかって相談を受けて・・・。“あれー? そういう企画部分は私の特技でもあるので 高いよ~!”って、その頃は冗談言ってました。それに私はマンドリン弾きじゃないですし!(笑)。ともかくその中に丸本さんのCDもあって、その後頂いたCDを全部持ってNYにとんぼ帰りして、何度も何度も聴いて、「これだ! この2人で音楽をやれば、世の中に必要な音楽が創れる」っ心に感じました。
 あれは丸本さんが初めてオペラ座を尋ねて下さったときだったと思うんですが 、「2人でやったらどう?」って言ったんです。後「私は丸本大悟の音楽をもっと多くの人に聞いてもらう」 というかなんとか・・・。二人とも半信半疑でしたね(笑)

ーーマンドリンを介した交友にとどまらない、今までのやり方とは別な関係で、ということですね?
柴田:「いっしょにマンドリンを通して君の傍にいる音楽やる」っていうことですよね。あれは2008年の6月か7月頃でしたか?
堀:そうですね。
柴田:それで、9月からライブを始めよう、じゃ、名前が必要だ、ということで2人に名前を出してもらい、私も考えて・・・。心のイメージにあったのが“プラネット・スピリタ”。
堀:初めに僕が言ったのはとにかく今にも共通しているんですけど、特定のジャンルにとらわれたくない、ということ。マンドリンの基本をなす音楽やクラシック音楽は今も好きですが、音楽はそれだけじゃない。丸本さんも高校時代ロックバンドをやっていたくらいですからね。 
 だからマンドリンを通していろんなジャンルの音楽をやっていこうというのが一番初めにあったんです。
 それで最初に「プラネタリウムなんかどうですか?」と言ったら、「ちょっと可愛すぎるね」と(笑)。
 で、いろいろキーワードをあげて行って最終的にこうなりました。
柴田:プラネット・オブ・スピリタというところまできて、「ちょっと長い」。じゃ造語になるけど「プラネット・スピリタは?」と私は言い続けたんですが・・・。それでも堀さんは、「言葉がふたつくっついているのはいやだ」って言ってましたね。
堀:なにか造語的な言葉、たとえばメゾンなんとかかんとかと、違う国の言葉をくっつけた名前のマンション名とかあるじゃないですか、あれが個人的には大嫌いなんですよ。「うなぎとコーヒーをいっしょに口にするな!」みたいな(笑)。意味しているところはいいと思ったんですが。
 でも反芻していると、イタリア語風と英語風をくっつけて造語にしてるところが、違うモノ同士をミックスしたりとらわれない感じで、かつ挑戦して行くイメージもあっていいかな、と。 
柴田:ふー。堀博士がようやく納得してくれたようです(笑)。丸本さんは 後ろから「ぼ・・ぼくは プラネット・スピリタがいいと・思うんです・・・が」と言っていたような記憶があります(笑)。当時堀さんは個人のCDを作ることを考えていて、迷ってたんですよね。「クラシック作品のものにどんなふうに違うものをどれくらい取り入れるか」といったことですね。その相談を受けていたんです。でも、ソロ活動とは別にプラネット・スピリタをやり始めてから「あ、これでいいんだ」ということがすっきりわかってきたみたいですね。
堀:そこが大きいですね。


柴田:それまでは、どうやってマンドリンの世界で食べて行くか、マンドリンをどうやって伝えて行くかっていうことを考えていたようですけどね。
ーーこの形をつくったことで、この方向でどこまでどんなことがやれるか、ソロの世界をどう作って行くか、いろんなことが明確になるのかもしれませんね。
柴田:そうみたいです。最初は、堀さんはマンドリン・デュオといっても、もっといろんな楽器を入れたらどうか、とか。でもわたしは直感的に「音楽マーケットに出すならDUOだ!」って思ってたんです。人という文字は、寄り添っている。そういうかんじのところにふわっと入って行くのがマンドリン。それがいいって思ってたんです。  でも実際はそこからがまたたいへんで、デュオでやっていく演奏のスキルを磨かなければいけなかったから。
ーーソロの腕があり、また合奏経験が豊富であってもまた違うんでしょうか?
堀:まったくどうやっていいかわからなかったですよ。
柴田:そのうえ、レコーディングに向けて新しいアレンジを作って行くわけですからね。
 私の直感で「ああしろ、こうできないか」とオペラや歌の世界での相当高い音楽的レベルの課題を彼らにバンバン投げかけて、夜の9時くらいから始めてああでもないこうでもない、と。相当のエネルギーかけちゃいました。
 そこはユニバーサルさんがやってくれるものじゃなく、自分たちの音楽の領域ですからね。
ーー今この1枚が持っている方向性は、いつ頃見えてきたんですか? 名前が決まった頃? それともアレンジが進んで行く過程で、ですか?
柴田:いちばん最初は全曲丸本さんのオリジナルで行こうと思ったんです。じつはT.S PROJECT INTERNATIONALでは、自分のCDレーベルもあるんです。信じるものは自分でやるという思いでしたから最初はそこで作ろうと思ったんです。そのときは「地球の鼓動」「地球の息吹」日々のたわいもない人間の営み、人に寄り添う本物の音楽を伝えてほしい、そして、癒し系だけに終わらない、本物の音楽だけど、音は研ぎすまされていて、マンドリンだけどトレモロだけじゃない堀さんが持っているグルーヴ感も秘めさせたい、ギターじゃないのにギターみたいに弾くと言うか。そういうことに挑戦してもらって、そこにさらに出てくる優しさとか包容力とかそういうものを創り出したいって思いましたね。
(続きます)

▲マンドリン・デュオPlanet Spirita
(ユニバーサルミュージック 11月11日発売UCCY-1010¥3,000))
【収録曲目】
マンドリン協奏曲 第1楽章(A.ヴィヴァルディ)/キセキ(GreeeeN)/遠い日(丸本大悟)/ハープ協奏曲(G.F.ヘンデル)/かえるのうた(ドイツ民謡)/HOTEL CALIFORNIA(D.フェルダー, D.ヘンリー, G.フライ)/カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲(P.マスカーニ)/May(丸本大悟)/スプリング・ソナタ(L.ベートーヴェン)/リュート組曲第2番より 前奏曲(J.S.バッハ)/ピアノ・ソナタK.545より 第1楽章(W.A.モーツァルト)/イン・マイ・ライフ(J.レノン&P.マッカートニー)/Spirit of Planet(丸本大悟)/Lovin’ You (M.リパートン, R.ルドルフ)


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▲マンドリン・デュオPlanet Spirita
(ユニバーサルミュージック 11月11日発売UCCY-1010¥3,000)

ショコラドミラクル
▲2010年2月7日(日)&2月12日(金)
柴田智子のヴァレンタイン・スペシャル Chocolat de Miracle
〜愛と奇跡の物語〜
■HAKUJU HALL(代々木公園)
2月7日(日)14:15開演(13:45開場)
2月12日(日)18:30開演(18:00開場)
■出演
柴田智子(ソプラノ)
浅倉大介(ミュージシャン)
塩入俊哉(ピアノ)
朝吹元(チェロ)
■演出: 山下晃彦
■入場料 ¥6,800(税込・全席指定)

■チケットのお申し込み・お問い合わせ
(株)サンライズプロモーション東京
Tel: 0570-00-3337
http://sunrisetokyo.com