気になる公演を見つけた！　「飯田みち代が歌う　アルマ・マーラー歌曲全作品を聴く」（主催：飯田みち代　アルマ・マーラー歌曲全作品を聴く会）。週刊新潮　6月20日号で見つけた。21日付け産経ニュース記事では飯田さんのコメントも紹介されている。ソプラノ飯田みち代「女性の真実歌いたい」　Ａ・マーラーの全歌曲演奏会＋（1/3ページ） – MSN産経ニュース

　アルマ・マーラー（上写真左／1879年8月31日 – 1964年12月11日）といえばあの世紀末の大作曲家のひとりグスタフ・マーラーの妻として知られるが、後、画家のココシュカ、グロピウスをはじめとする男性遍歴で音楽史、アート史に名前を残したことでも知られる。
　少女時代は絵画、文学、哲学、作曲に才能を発揮したこと、後々アメリカに亡命し音楽サロンを開き、ストラヴィンスキー、シェーンベルクが出入りしたことも有名だ。マーラーとアルマの愛と葛藤を描いた伝記映画『マーラー 君に捧げるアダージョ』（2010年のドイツ・オーストリア合作）もある。劇中音楽は大半はマーラーの交響曲だが、アルマの作品「Ich wandle unter Blumen（私は花の下をさすらう）」も聴ける。
　が、実際のところ、音楽会でその作品自体に接することは、あまりないと思う。彼女は若い時代にアレクサンダー・ツェムリンスキーに師事している。ツェムリンスキーはシェーンベルクの師匠である。同時代に、アルマとシェーンベルクは兄弟弟子であったのだ！しかもそのツェムリンスキーは、アルマと師弟関係以上に接近したこともあるらしい。が、マーラーと結婚する。一方、ツェムリンスキーのほうは妹が、後にシェーンベルクと結婚。自身は後にウィーン・フォルクスオーパーの初代首席指揮者となったのをはじめ輝かしい実績を残している。若い頃は、みなたいへんだったようだ（！）。なかなかに物語が錯綜した世紀末〜今世紀初頭。シェーンベルクの「浄められた夜」が聞こえてくる気がする。

　ところで飯田みち代さん（上写真右）はソプラノ歌手。京都大学教育学部心理学科卒業。2歳の時、難病指定重症筋無力症を患ったが奇跡的に回復。大学卒業後、大手企業に就職したが、音楽・オペラを通して世の中に夢や希望を与えたいとの思いから退職し、オペラの道へ。
1990年日本イタリア声楽コンソルソ金賞受賞以来、飯塚新人コンクール大賞、朝日ＡＢＣコンサート優秀賞、愛知県芸術文化選奨などの受賞歴を持ちながら、国内外で活動している。

　アルマの作品、飯田さんの思い。この公演のキーワードはシェーンベルクか？　この演奏会はいろんな意味で貴重な一夜となりそうだ。

飯田みち代が歌う　アルマ・マーラー歌曲全作品を聴く
日時：２０１３年６月２１日（金）１９：００開演１８：３０開場

会場：ＨＡＫＵＪＵ　ＨＡＬＬ（渋谷区富ヶ谷）
ピアノ：新通　英洋（Hide Shindori）

チケット：全席自由４，０００円
（後援会会員割引あります。お問い合わせください）

チケット取扱：
チケットぴあ　０５７０－０２－９９９９（Ｐコード１９０－２５２）
ＨＡＫＵＪＵ　ＨＡＬＬチケットセンター　０３－５４７８－８７００
主催事務局（清水）０８０－９４９１－５５６７

【曲目】
２つの歌
静かにはじめての花が（ライナー・マリア・リルケ）
私の夜を知っていますか？（詩　作者不明）

５つの歌曲
静かな町（詩　リヒャルト・デーメル）
私の父の庭で（詩　オットー・エーリヒ・ハルトレーベン）
心地よい夏の夜（詩　グスタフ・ファルケ）
あなたのそばでは心おきなく（詩　ライナー・マリア・リルケ）
私は花の下をさすらう（詩　ハインリヒ・ハイネ）

４つの歌曲
夜の光（詩　オットー・エーリヒ・ハルトレーベン）
森の至福（詩　リヒャルト・デーメル）
嵐（詩　リヒャルト・デーメル）
収穫の歌（詩　グスタフ・ファルケ）

５つの歌
讃歌（詩　ノヴァリス）
エクスタシー（詩　オットー・ユリウス・ビアバウム）
気づき（詩　フランツ・ヴェルフェル）
讃歌（詩　リヒャルト・デーメル）
夜の讃歌（詩　ノヴァリス）