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マンドリンクラブ・エレガンスの見どころ聴き所。6/2習志野文化ホール14:00開演

マンドリンクラブ・エレガンスの見どころ聴き所。6/2習志野文化ホール14:00開演

 昭和51年(1976年)にスタートしたマンドリンクラブ・エレガンスは今年36年目。指揮者以外、全員女性。現在の指揮・指導は田久保裕一氏。11年前、それまで指導にあたっていた日比野俊道氏から引き継ぎ現在に至る。一昨年、定期公演会場に足を運んだところ、広い習志野文化ホールがほぼ満席。千人を超えるエレガンスファンが、このクラブを支えていた。
 今年の定期演奏会(6月2日(日)開演14:00/習志野文化ホール)を前に、練習中のクラブを訪ねた。

 広い練習会場の半分を使い、半円形に並んだメンバー。この日は70人ほど。「フルメンバーに近そうですね?」という問いに「出席率はすごくいいんです。腕はまだまだですけど(笑)」と代表の三戸さん。この日のアンサンブルには、まだ少し手探り感もあったようだ。けれど、音の厚み、フレーズの息づかいが瑞々しい。公演本番2か月前にして、かなりまとまって聞こえる。輪の中心にいる田久保氏の声が、フレーズにかぶさる。「ここは抑えて!」「もっと大きく!」「・・・はい、ここで呼吸して!」「そう!」。
 経歴を見ると田久保さんが師事された先生は多いが、記者は、中でもハンス・グラーフに注目している。カール・ベーム、チェリビダッケに学びザルツブルクをベースにしている指揮者・教授だ。田久保さんはベーム、チェリビダッケの筋にあたるのだ。
 練習後、田久保さんと団員さんに聞いた。

ーーエレガンスの音楽、とくに音には「瑞々しさ」を感じています。

田久保:エレガンスのみなさん自身の「楽しい」気分が出ているんだと思いますよ。みんなで、あれこれ言い合いながらやっていますからね。僕自身は、自分の音楽活動を、みなさんに支えていただいているということもありますし。その気持ちの相乗効果ではないでしょうか。

ーー田久保さんご自身は、マンドリンオケに対してどんな感想をお持ちですか?

田久保:指揮・指導を引き受ける前には、もちろん楽器としてのマンドリンを知っていましたが、それ以上のことは知りませんでした。しかし聴いてみると、驚きました。
 一般的なマンドリンに対するイメージも同様で、「地味」かもしれません。でも実際には表現力の幅広さが魅力です。今回のプログラムにも書いたんですが。去年、マンドリン合奏コンクールの審査員をやらせていただいて認識を新たにしました。

ーー中学や高校、大人になってからでも始められるところも魅力ですよね?
 みなさんどれくらい弾いてらっしゃるんですか? また、今年の公演に掛ける意欲など、言葉をいただきたいんですが?

藤平:向上心はトシだから、ほとんど持ってないですねえ。

みなさん:(爆笑)

田久保:そんな中で僕が、「もっと向上心を持ってやらないと!」と叱咤するんですけど(笑)。というか、実は「向上心がない」というのは謙遜で。気持ちがあるから毎週これだけの人数が集まるわけですよ。ただ、曲を自分のモノにするのに時間がかかりますよね。1回2回で譜面は読めます。でも読み込むことはなかなか出来ない。
 だから、「ここは譜面を見ず、暗譜して弾けるようになれ。その上で他のパートの音を聴けるくらい練習しよう」と言うことはあります。そうすると、音が変わってきますね。集中力が違うし。だから、まだまだやりようはあると思います。
 “もっと他のパートを聴きながら、アンサンブルできるようになる”。それには自分が完成されなくてはいけないですね。曲が自分の中で消化されないとね。
 そういう話を厳しく言うときもあります。

大谷:表現とか、難しいです。でも、音はそれで変わってきましたよね。

藤平:そう、そう。だって、このトシになって「学ぶ」ということがないから、教えられたら必死にやりますからねえ。

ーーでも、その結果が瑞々しい音楽になり、大勢の人を毎年集める魅力作りになっているんですね。音楽は心だ、という気がします。

田久保:それは多いにありますね。

ーーところで、そのコツの一つだと思うんですが、先ほども「ここで呼吸をして!」という指示が飛んでいました。合奏コンクールのとき、総評でも田久保先生は「呼吸」についておっしゃっていました。具体的にはどういうことなのですか? 大きなフレーズを「吸って」弾き始め、「吐きながら」弾き、「吐き終わって」弾き終わる、ということですか?

田久保:まず最初はタイミングをとるために、呼吸がないと、「パン!」と決まりませんね。もちろんフレーズの中で吸ったり吐いたりはありますが、“「出だしの直前に」吸って「パン!」と出す。”これが、案外出来ないことが多いですね。
 弦楽器だから直接息は関係ないじゃないですか? ところがここに木管が入ってくると、木管のタイミングを考えないと、全体が絶対合わないですね。だからみなさんにはいつも「出だしの呼吸を感じて!」と言っています。

ーーああ、そうなんですね。それは木管が入らなくてもとても大切なことなんでしょうね。

田久保:そうです。

ーーピッキングはどのように揃えていますか? 四分音符を何回のピッキングで弾く、というような揃え方はされているんですか?

藤平:それは私たちには無理です。

田久保:でもフレーズの終わりとか、次の出だしの準備として、「ここは4つで弾きましょう」「ここは6つで」ということは、場合によってはありますね。つまり、6つの人と4つの人が混在していたら合わないですからね。そういうときは「そこは6つでがんばって次に行こうよ」と。
 溜め込んで rit. して、エネルギーを貯めていって次に行くときとか。

ーーさきほど、フレーズに合わせたポジション移動を実際に弾いて「このほうがいいのでは?」と指導される場面もありましたね。ああいうこともしばしば?

田久保:僕はチェロの人間で弦楽器ですから、バイオリンはじめ弦楽器の左手のポジショニングはだいたいわかります。さっきのところなんかは、「同じ弦で弾いていく」ほうが決まるのかな、と、弾いてみてもらっていたんです。「音的にこうでなければいけない」という部分ではなかったのですが。

ーーポジショニングや指使いは奥が深いですね。

田久保:音程はたしかにいっしょです。でも弦をまたいで同じポジションでヨコに行くより、ポジション移動して同じ弦でタテにいったほうが、色気は出るよ、と。そういうことはところどころ入れていくことはあります。

ーーところでみなさん家での練習時間はどうされていますか? パートと在籍年数も合わせて教えてください。

加藤:1stマンドリンです。わたしは勤めていますので練習時間は夜です。防音は気にしません。周囲に何もないところですから(笑)。家族ですか? もう慣れてますから気にしていません。在籍歴は26年です。

出穂:ギターです。在籍22年です。専業主婦ですので、家事をさっさと終わらせて練習しています。あ、部屋は丸く掃きます(笑)。なるべく数時間は弾くようにしていますね。練習が好きなんです。

中田:コントラバスです。みんなとの練習は木曜なので、月火水を練習日にしてだいたい1時間くらいは弾いています。時間がないときでも、15分くらいでもよいので楽器に触るようにしています。金土日は気分転換に違うことをやっています。在籍27年です。

ーー最初からコントラバスなんですか?

中田:最初はマンドリンを弾いていました。いままでにほかのオケでの話ですが、公演の1部でマンドリン2部でコントラバス、ということもありました。違和感ですか? 不思議なもので楽器を持つと、ストンとはまるというか、慣れますね。楽譜にしてもそうですけど。

奈田:チェロです。在籍20年です。わたしは若い頃にちゃんとやっていたわけではないので、ほかの人より練習しなくてはいけないんですが。それと、今チェロの人数が少ないので「大きい音」を求められると、がんばって弾いてしまいます。すると、手が痛くなってきて・・・。それで木曜の練習が終わると日曜日までは休み、月曜になると慌てて練習を始めます。

ーー大きい音というのは必ずしも力だけの問題ではなく、楽器だったりフォームだったり、ということがありますよね。でも、その場で「もっと大きく」と言われると肩にも力が入ってしまいますよね。

奈田:そうですね。それでつい無理してしまうので。

田久保:いまチェロは5人なんです。もう3人くらいほしい。だからいつもつい僕も「強めつよめ」と言ってますね。だからつらいところもあるかもしれないですね。

ーーとはいえ、今日も出席率がよいそうですが、低音からバランスがとれた音で練習できているのは素晴らしいことですよね?

田久保:そのこともそうですが、欠席がないというのが素晴らしいです!

安藤:マンドリンです。練習は家族のいない午前中とか多いです。在籍は出たり入ったりがありましたが通算で20年くらいです。日比野先生の頃にこちらに入りました。

岡田:セカンド・マンドリンです。在籍は、15、6年です。楽器は学生時代から弾いていましたが、弾いてない期間もずいぶんありました。ドラを弾いたり、マンドリンを弾いたりと定まらなかったんですが、ここ2年はマンドリンを弾いています。
 練習は夜です。昼間は主人の仕事を手伝っていまして。マンション住まいなのでだいたい9時以降は音を出さないようにしており、その前1時間くらいが練習時間です。

ーーみなさん音をミュートしたりという練習はされていないんですね。

岡田:マンドリンの音ってそんなに漏れないって言われますよ。主人には「階段を上がってくると聞こえているよ」とは言われますけど。

藤平:マンドラです。わたしのマンドリン歴はけっこう長いんです。高校大学とやりました。結婚して子育てをして、下の子が幼稚園に入ってからここに入団したのは昭和60年くらいかな。でもわたしもやはり出たり入ったりが2回ほどあって。通算したら20何年かな・・・。
 練習は、だいたい朝の7時くらいから。なぜかというと、月火水と私は予定が入っているので、それに出かける前に、朝、片付けもしないで1時間くらい練習に没頭します。
 もうひとつ別の団体にも所属していてそちらの練習もあるので、たいへんですが、やってます。

田久保:複数所属しているという方がけっこういますね。

三戸:ギターです。平成元年からなので25年です。学生時代にやっていてそれ以来です。久しぶりに始めた時はギターの弦の数も忘れたくらいでした(笑)。練習は、土日はなかなかできず、平日にやります。時間がない時は15分でも、基礎練習だけでも、という気持ちで毎日午前中にやっています。この頃は、夜に練習すると、あくる日肩が凝るのでできません(笑)。

(あちらこちらから):そうそう。

田崎:ギターです。在籍33年、日比野先生のときからやっています。技術と年数はイコールではないので、全然うまく弾けません。
 練習は週明けです。金土日はやはり約束事があったりしてなかなかできません。それで気持ちを新たにして月曜から。だいたい午後の時間を練習にあてています。

三浦:1stマンドリンです。在籍は11回からなので22年です。大学のときから始めました。結婚して子育てをして中断しましたが。でもエレガンスに入りたくて入りたくて子供が幼稚園になるのを待って、ここに入りました。
 仕事をやってまして、仕事のある日の練習時間は、夜です。仕事のない日は午後からやることにしています。家では夜は小さい音でポジション確認などに集中し、木曜、エレガンスに来たときに思いっきり弾いています。

大谷:ギターです。わたしは一人で弾くのが嫌い。合奏が好きなんです。なので練習日前の水曜の夜「ためしてガッテン」を見ながら1時間弾いたらいいかな、と(笑)。30年くらいいます。

ーーありがとうございました。ところでみなさん、とてもよい楽器をお持ちのようですね? 学生時代からのものですか?

何人かの方:最近・・・買い替えました。

田久保:古い楽器もありますが、新しく手に入れた古い楽器もありますね。価格もいろいろですね(笑)。

ーーいい音の原因がそこにも隠れていそうですね!

 マンドリンクラブ・エレガンスの魅力。1に素材である演奏者たちの音楽に対する旬な活気。2に、指揮者による演奏の練りこみ方。この二つが素敵な味の二大ポイントだ。が、3に楽器によるスパイス。これも効いている。6月2日のエレガンス公演が楽しみだ。(記者:エベカズタカ/撮影:かえるカメラ)

第32回 エレガンスマンドリンコンサート
2013年6月2日(日)開演14:00 開場13:15
会場 習志野文化ホール(JR津田沼駅南口4分)

●指 揮   田久保裕一
●演 奏   マンドリンクラブエレガンス
●賛助出演  フルート  :青木 美咲
       オーボエ  :富田 和子
       クラリネット:山本 靖子
       ピアノ   :坂田 峯子
       打楽器   :エンジョイパーカッション
       朗読・司会 :田部 美恵
【演奏曲目】
〈第一部〉
マンドリニストの生活 J.B.コック
組曲「山の印象」 鈴木静一
1. 夜明け
2.山行く歌
3.高原の午後
4.麓をさして

〈第二部〉
スラヴ舞曲 第10番 A.ドヴォルザーク/服部正 編曲
ハンガリー舞曲 第4番  J.ブラームス/小穴雄一 編曲
ワルツ「金と銀」 F.レハール/小穴雄一 編曲

〈第三部〉
ヴェルレーヌの詩に寄せる3楽章 鈴木静一
1.空
2. 巷にふる雨
3.マンドリーヌ

小組曲 C. ドビュッシー/小穴雄一 編曲
1.小舟にて
2.行列
3.メヌエット
4.バレエ

◆入場料 1,000円(全指定席)発売中
◆前売所 習志野文化ホール(習志野市谷津1-16-1)
℡047‐479‐1212
◆お問い合わせはHPの問い合わせにどうぞ。
http://mandolinclubelegance.jimdo.com/

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