久保田さん率いるフィロマンドリーノ・オーケストラは
KMAオーケストラを母体に生まれたとの話でした。
ではKMA~クボタメソッドに基づくオーケストラ、クボタメソッドとは?
合わせることの楽しさ、難しさ、そして素晴らしさを追求すれば
だれでも行き着く原点。それがクボタメソッドだということのようですが…。


○●○  ところで、先生は「久保田メソッド」の教則本も
出版されていますね。

久保田  うん、そのことですが、僕が言っているのは、
本来「メソッド」などと構えて言うことはない、
ここで言っていることは、マンドリン演奏にとって
当たり前のことだと思っているんですよ。
マンドリンをまじめにやっていれば、
必ず行き着くことだ、
と思っていることなんです。
でも“マンドリン界はそこまで行ってないから、
「久保田メソッド」として広めた方がいい”
と賛同してくださる人が大勢いたので、
教本としてまとめ直したんです。
○●○   なるほど。
久保田 ようは「この音符は、この長さで弾く」
って言っているだけなんです。
トレモロなら、心地よく感じる早さ、回数がある。
エキサイティングなまでに早ければ
神経質な感じになるし、
遅ければダレた感じになる。
そしたらどれくらいなのか?
二分音符だったらこれくらい
四分音符だったらこれくらい、じゃないか、と。
トレモロで一番少ない回数は2回です。
では3回、4回ということを
組織的にやっていくだけなんです。

○●○   ふむふむ。
久保田 ですからテンポの決まったところでは、
単位時間あたり
四分音符4回だったら
どこでも4回にするわけです。

○●○   どこでも、ですか?

久保田 テンポの遅くなったところでは
トレモロの回数を増やす。
そういうことを決めてやると、
全員同じようにできる。

●●● そうですね。。

久保田 では、なぜ、全員同じようにやるか?
弾きはじめと終わりが同じじゃなければいけないし、
そのことはバイオリンでも同じですね。
ひょっとしたらバイオリンの方が
揃ってないかもしれない。
しかしマンドリンではそれができる。
それが鉄則な訳です。
マンドリンは一番細かい単位まで数えられるんです。
で、大きな音符も全員が同じ長さで弾ける。
「細かく数えて大きなフレーズを表現する」
というのが演奏の基本ですが、
マンドリンはこれが実際にできるわけです。
○●○   そういうことになりますね。
久保田 もう1つの利点は、たとえば
フルートなんかでは柔らかい音がしますね。
それがフルート1、オーボエ1、クラリネット1
といった楽器が同時に「ぽ」って弾くと
それがものすごいアクセントになるわけですよ。
一番よく響くというのは
「同時に弾く」ということですよね。

だからマンドリンも全員が「同時に弾く」。
○●○   はい。
久保田 マンドリンは、トレモロも、
そのすべての「点」が同時に鳴ってほしいわけですよ。

○●○   あ、それはそうですね。
久保田 そうしたときに一番響く音にもなるし
一番大きな音にもなる。
だからこれはもう…「原則」であって、
理想でもなんでもない、と思うんですね。
ここから始まるんです。

○●○   いろいろ反論もあったようですね。

久保田 「そんな数を数えるなんていうのは機械的だ」
とか、いろいろ言う人はいるんですが、
やってみればわかることです。
自分で突き詰めていったらそこにいくと思うんですね。

○●○   のりのいいリズムを再現しようとするときに
常にウラのリズムを感じるようにするのと同じですね。
つまり倍、またはその倍のリズムが体にないと
いいノリにはならない。
機械的になってしまいますね。
それと同じでいい音楽には不可欠のことのように思います。

久保田 そうですね。僕のところでレッスンをする時は、
2回から始めます。
そして3回、4回と増やしていって
長い音符でも均一なトレモロができるよう
練習していきます。
そしてトレモロの数を変えて、
加速する練習、減速する練習をすると
リタルダンドやアッチェレランドが
できるようになるワケです。
曲を弾くとき、「この曲は4分音符4回」と決めると
ぴったり合っちゃうわけですよ(笑)

○●○   気持ち良さそうですね。

久保田 音楽作りはここから始めるんです。
縦の線を揃えるということは、
気持ちの良い演奏をするために
是非必要なことで、
良い演奏をするには努力も必要になるわけです。

○●○   かんたんには手に入れられない…。

久保田 でも、1からそれをやることが
いちばんやさしい方法なんですよ。
でもいままでの方法でやっている人が多いから
なかなか難しい。
頭の切り替えも必要になりますし…。

(続きます。)

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2009-02-16

ギターの時間