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クボタフィロ、本番は2/23。その直前リハ現場を直撃!

k01 前回の取材から2カ月。本番1週間前のリハーサル現場を取材した。この日は概ね当日のプログラムを想定し練習を重ねていく。1曲1時間見当で丸一日。午後からは管の演奏者が入った。
 大きな変更はない。細部をひたすら詰めていく。アンサンブルの精度をあげていく。静けさはより繊細に、クレッシェンドはよりダイナミックに。構成のメリハリが鮮やかになっていく。今回は「スラヴ舞曲第10番」の一部を紹介。(スチル撮影:かえるカメラ)

「今回は、以前にもプログラムにかけた作品が4曲あります。しかしまったく初めての作品もあります。フィンガルの洞窟などは初めてなので、弾ける弾けない、という次の段階、曲のかんじ、イメージをどれだけ早く深くみんながつかんでいけるかがカギになりますね。そこに時間をかけています。」(久保田)

 リハーサル毎に、じわじわと深まっていき、その度に磨かれていく。本番までにどこまで磨き込めるか。

「今までやって来た曲の場合は、もちろんみな流れはつかんでいるのですが、どうかすると“流してしまう”部分も出てきますね。リハーサルを含めてすべて緊張を持って演奏するというのは、なかなか難しものですが、そこを引き締めて仕上げに入っています。
 みんなの理解が深まってくると、混沌としていたものがすっきりしてくるんですね。すると今まで見えなかったものが見えてくる。そうすると回を重ねる毎に演奏の内容も違ってきますね。」(同)

 具体的はポイントはなにかありますか? との問いに興味深いことをあげてくださった。

「若い頃はこのテンポがいい。ということでできるだけそれに近づけようとする演奏をしていた。しかし、みなが演奏しやすい速度ということで少しテンポを緩めたり、というようなことはありますね。弦楽のためのアダージョではピアニッシモの部分、以前の演奏よりもさらに表情を引き出したくてギターを入れて劇的にしたり、という工夫もしています。
 モルダウの中間部でフルートが入りバイオリンが静かに入ってくる部分がありますが、そこは、ソロもマンドリン、メロディーもマンドリンでやるわけです。そこをどう表現するか。前回とは異なる工夫をしています。」(久保田)

 テンポの選び方。前回紹介したグリークのペールギュント「朝」もその一例だろう。たとえば歴史的な演奏家による同じ作品の名演も、若いときのものと成熟した晩年の演奏を聴き比べると、端的な例としてテンポがまるで違う、ということもよくある。若い頃は速くたたみかけるような速度が、いかにも颯爽としている。一方、晩年のゆったりと、じっくりギリギリのテンポで細部まで聞かせようとする速度の演奏からは作曲家の感性が聴き手に向かって立ち上がってくるような・・・新しい発見があったりする。これらは指揮者、演奏家の「年齢」があきらかに関係しているものだと思っていた。が、演奏そのものの「表現」の方向/深さでテンポも変わる。
 マンドリンというバイオリンとは技術的に明らかに異なる側面を持つ楽器による演奏を考えるときの大きなポイントだと思う。それはどのような作品を演奏する上でもすべてに言える点だ。バロックも古典も近代も現代曲も。作品の選択は重要だが、それが決め手ではないのだ!
 そして表現。マンドリンによる表現。

「私のパートは低音楽器なんですが、高音のトレモロとぶつかりながら重なりながら、うっとりするくらいきれいにハーモニーが生まれている瞬間というのは、演奏しながら感動することもよくあります。そういうのを本番で、ぜひ伝えたいですね!」(小野なつき-今演奏会実行委員長-)

 同じ曲でも同じ演奏家でも異なるバージョンを聴く楽しみ、面白さがそのあたりにあることは明らかだが、マンドリンによるクラシック作品の演奏はさらにその興味を拡げるものだ。そうしたいくつものヒントと活きた実例が見て聴ける演奏会。それがクボタフィロの第21回定期演奏会だ。
 当日券もわずかにあるとのこと。是非、お見逃しなく!


クボタフィロマンドリーネンオルケスター第21回定期演奏会
「クラシック名曲集IV」

2014年2月23日 (日)14:00開演(13:30開場)
紀尾井ホール(東京・四谷)

第Ⅰ部
序曲「フィンガルの洞窟」 /メンデルスゾーン
スラブ舞曲第10番 /ドヴォルザーク
「ペール・ギュント」第1組曲 /グリーク

第Ⅱ部
悲劇的序曲 /ブラームス
弦楽のためのアダージョ /バーバー
連作交響詩「わが祖国」より第2曲「モルダウ」/スメタナ
チケット 11/1(木)発売 10/21(月)後援会優先予約開始
SS席:5,000円 S席:3,500円 A席:3,000円 B席:2,500円

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