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岩永善信ギターリサイタル 今年はパガニーニとブリンドルに注目!

クラシック・ギタリストの中でも名手と呼ばれる音楽家はとても少ない。そのひとりが岩永善信さんだ。CDやDVDを残さないことでも有名で、音楽が生成する「その場の空気空間」こそ音楽、と譲らない活動を続けている。したがって、公演会場に足を運ばない限り、彼の音楽に触れることができない。

そんな中で、唯一普段の表情を交え、演奏の断片、それはほんとうに断片でしかないが映像で残させていただいたのが、わが、「ギターの時間」である。たいへん光栄なことだ。にもかかわらず、当時の収録機材、技術のなんとへたくそなこと! 岩永さん、読者のみなさん、ほんとにほんとにごめんなさい!! 

 


と思いつつ、ときどきインタビューに目を通したりする。と、岩永さんの音楽に対する真摯な生き様に、居ずまいをただされたりする。そして、また毎年恒例のリサイタルの季節がやってきた。


今年主な公演は大阪、名古屋、東京。それぞれのスケジュールはコンサート情報で確認していただくとして、注目はそのプログラム。ここ数年取り組んでリサイタルには必ず乗せてきた自身の編曲によるロマン派作品としてアルビノーニのアダージョがリサイタルの挨拶として先頭に位置づけられた。続いてポンセ、バッハと続き、ギターリサイタルらしい空気を作り上げる。休憩を挟んで演奏されるのがパガニーニ「ロマンスとカプリス第24番」とR.S.ブリンドルの「黄金のポリフェーモ」。前者は超絶技巧を盛り込む余地を残した作品で、名手の録音がかなり残っている。エリオット・フィスクのハイテクニック映像などがYOUTUBEでも見ることができる。これは楽しみな選曲だ。
もうひとつ気になるのがR.S.ブリンドルの「黄金のポリフェーモ」。12音技法や無調とはきわどく異なり、モダンなテイストながら、20世紀への郷愁を内包して聴こえる。このあたりの好き嫌いはなかなか線引きに個人差があると思うが、ともあれ名手ブリームに捧げられた1956年の作品で、ギター好きには無視できない作品。ブリンドル39歳の作。
R.S.ブリンドルReginald Smith Brindleは、英語版WikiPediaによれば、(5 January 1917 in Cuerdon, Lancashire – 9 September 2003) was a Britishcomposer and writer.で、若い頃からマルチタレント。さまざまな楽器を自分のものにしながら最終的にはオルガンと作曲による音楽生活を送ったひとのようだ。作品もかなり書いている。その中で最も有名な作品が、ギターのために書きジュリアン・ブリームに贈ったこの「黄金のポリフェーモ」だという。

今演奏会では、この2作品が後半の核をなし、最後にアルベニスで締めるという構成。ひとつの道筋というか、岩永さんのコンセプトをびんびん感じるプログラムだ。ぜひ、会場で、そこらへん、堪能したい!


 

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