（プロローグ）
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2月18日（土）、愛知学院大学マンドリンクラブ創立50周年記念演奏会を終日追いかけた。どの曲も「名演！」と呼びたい演奏だったが、とりわけ最後を飾った鈴木静一作曲「交響詩“失われた都”」の叙事的な構成はナレーションなしで演じ、いにしえの都、太宰府の光芒をホールに出現させた。一部始終をレポートする。
名古屋の南の玄関口とも言われる金山駅は、名古屋駅のひとつ隣り、名鉄、JR東海、地下鉄が交差するターミナル駅だ。構内を出て数分、すぐに見えてくる中京大学文化ホールの重厚な建物は、前夜の東京が曇天〜吹雪であったのとは打って変わり、この日、素晴らしい陽光の下にあった。 午前８時を回るとマンドリンケースを抱えたひとたちが入り口付近に集まってきた。大学生とともに年配の人たちの姿も交じる。人数は次第に増えていく。8時半。開館とともに入場していくその人数はメンバー、スタッッフ合わせて100人あまり。この日、愛知学院大学マンドリンクラブの創立50周年を祝う記念演奏会に出演する学生、OBのメンバーたちだ。彼らはおよそ一年を費やして、今日の本番に向けて練習を重ねてきた。いよいよなのだ。気温は相変わらず低く、風は冷たい。が、天気は晴朗。全身、身が引き締まりつつも浮き立つ気持ちが隠せないようす。
一時間ほどかけて会場準備。主な設営終了とともに午後2時から始まる本番前の、最終リハーサルが始まった。一週間前に、既に通し練習であるゲネプロを終えている。準備は万全。とはいえホールの響きにあわせたポジションの調整、アンサンブルの確認、ステージの出とハケ方の確認は最後まで入念なチェックが必要だ。
ほぼ予定時間通りに進行していく。全3部構成で組まれたプログラムの中盤はソリストが登場する。彼らも予定時間より早めに会場入り。すべてが順調に進みながら、本番までの時間は刻一刻迫る。今日は何十年かぶりに楽器を手にしステージに上がるOBもいる。緊張しないわけがない。が、だれの表情にも緊張が見えるものの、練習を重ねてきた人だけがみせる「やるぞ！」という意気込みが充満している。学生たちにもベテランOB指揮者たちにも。
少し遅めの昼食。しばしのリラックス。が、同時刻、ステージ袖の入り口を映し出すモニターには既に開演を待つ長い列があった。
午後1時半開場。学生メンバーと来場学生どおしの挨拶／笑顔はもちろんだが、客として来場したOBとベテランOBメンバーの談笑、握手があちらこちらで始まる。懐かしい顔どうし、肩を寄せ、組みながらかわす挨拶があちらこちらから聴こえる。ステージのプロローグはここから始まっていた。
開演5分前の予鈴。ざわざわと客席に着く来場者たち。迎える記念オーケストラ・メンバーは全員ステージ袖に控える。客席暗転とともにステージライト、オン。メンバー、ステージへ。
「大学祝典序曲（愛知学院創立100周年記念）」（作曲：鈴木静一）のトレモロ・アンサンブルによるファンファーレが、50周年記念演奏会の開幕を告げた。
（つづく）
愛知学院大学マンドリンクラブ創立50周年記念演奏会
会場：中京大学文化市民会館・プルニエホール
開演：14:00
プログラム
オープニング：愛知学院創立100周年を記念して 大学祝典序曲（鈴木静一）／指揮：松浦定男
第1部 指揮：古田寛明
・R.S.第６集「月の記憶」より ３．トッカータ ～古代舞曲～ （坂野嘉彦）
・「庭園植物図鑑（I.種子植物 II.蘚苔植物）III.羊歯植物」（坂野嘉彦）
第2部 指揮：大塚 衛
・アンデルセン童話による音楽物語「人魚」（鈴木静一）ナレーション：小川千歳／ソプラノ：杉山梨恵
第3部 指揮：松浦定男
・”荒城の月”による「狂詩曲」（鈴木静一）
マンドリン独奏：佐々木 敏
・ツィゴイネルワイゼン（Zigeunerweisen/Pablo de Sarasate ～ 鈴木静一編曲）
マンドリンソロ：竹内 勝利
・ルーマニア狂詩曲第１番イ長調（Rhapsodie Roumaine/G.Enescu ～ 鈴木静一編曲）
マンドリン・ソロ：中島 啓一
マンドラ・ソロ：古田 寛明
第４部 指揮：柴山明久
・小交響詩「マンドリンの群れ」（I Mandolini a congresso!/C.A.Bracco 〜柴山明久編曲）
・交響詩「失われた都」（鈴木静一）
