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今回は印象派の早稲田マンドリン(早稲田大学マンドリン楽部 第188回定期演奏会)

今回は印象派の早稲田マンドリン(早稲田大学マンドリン楽部 第188回定期演奏会)

Waseda University Mandolin Gakubu (Club) the 188th Subscription Concert
26, May, 2012 Narima Bunka Center, Tokyo, Japan

 早稲田大学マンドリン楽部第188回定期演奏会が年5月26日(土)、練馬文化センター大ホールで行われた。指揮は全曲:小川亜夕美。
 この楽団の定期演奏会は、年2回。この3年間、年末の公演だけ聴かせてもらってきた。最初の印象がとても良かった。演奏の技術的レベルのことを感じさせず、“マンドリン、トレモロを意識せずに「音楽」を聴かせる学生団体”という認識を持った。年々その想いは深い。年末公演は、1年生も夏の合宿を経て、上級生やOBたちにもまれて10か月近くを経た演奏であるから、やはりそれくらいの訓練は必要だろう。そういうふうに考えた。一方、そう考えると5月の公演は新入生は入部後1カ月あまり。どれほどの演奏になるのか。印象を変えたくない、というへんなおそれが正直言うと、あった。ゆえに5月の演奏は避けてきた。これが、余計なお世話であった。反省! 

 学生オケは、たぶん総じて練習時間は短い。合奏の訓練時間もバイオリンオケに比べれば圧倒的に短い。マンドリンに触れる時間のこの短さをどんなことでカバーして音楽に仕上げていくか? マンドリンオケの伝統校には、おそらくそのへんのノウハウが伝えられていると思う。そのひとつが適切な指導者の専任だろう。早稲田大学のマンドリンオケには、どうやらそれがとてもうまく効いている、というふうに感じている。
 選曲、譜読み、練習、そして仕上げていく過程のどの段階でも優れたアドバイスは個人のレベルを引っ張り上げ、団体の総力を本番で100%に近づけ、ときに、それを越える。たぶんそう言うことだと思う。

 今回はスペイン系近代の作曲家作品を前半に、後半はフォーレ、サン=サーンス、ラヴェルを持ってきた。しかもサン=サーンスではゲスト・ソリストにヴァイオリンの岩田唯を招いた。彼女はアンコールにも登場しモンティのチャルダーシュを披露。撥弦楽器と擦弦楽器の表情の違いを楽しませてあまりある演出となった。

 早稲田マンドリンのオケ編成には、いつも金管と木管、そしてパーカッションが上手く使われている。これも仕上がりを秀逸にする秘訣だと思う。管弦楽曲を演奏する上で、アレンジ上の創意で管の代理を割り当てるのは、並大抵の編曲、演奏では追いつきにくいと思う。しかしマンドリンオケの編曲テクニックを聴くというのは、かなりマニアックなことだ。音楽に聴き入り、気がつくと「あれ?管はいないのに!?」という演奏に出逢うと、びっくりするとともに、マンドリン音楽の面白さにハマり直す。その面白さはある。が、そこを、本来の楽器に任せる。管も入れようよ、というこの素直さは音楽そのものに大きく影響すると思う。
 このへんの使い分けが巧みなのだ。今回の岩田唯さんの起用もそうしたことと無関係ではないだろう。

 カスタネットが印象的なファリャの熱情、ギター・セクションのアンサンブルを中心に織りなすロドリーゴの憂愁、ブーシェロンの多彩な情景をトレモロで描き、前半を終了。
 後半はフルート、クラリネットとマンドリンのトレモロが交互に描くフォーレの優雅な音の舞。
 そしてサン=サーンス。ソロ楽器としてのヴァイオリンの音の存在感は圧倒的だ。やっぱりヴァイオリンにはかなわないのか? そう聴き進むとすぐに、トレモロに載せたヴァイオリンが流れ、ところどころギターとの掛け合いも現れる。これが、楽しい。そして4拍子4拍を刻むとき、マンドリン・オケは、みな楽しそうだ。ロンドの華やいだ音がステージに溢れる。ものすごく得した気分に浸らせてもらった。
 さて、今回の公演もうひとつ目玉があった。「マ・メール・ロワ」。
 今更だが、ラヴェルのピアノ作品。これを自身がオケに編曲して残した作品。今回は高中亞鈴治編曲で、曲の配列がピアノ版に準拠していたことからも伺えるが、オケ版を下敷きにしているのではなくピアノ版から編曲されているようだ。編成的には鍵盤楽器を2台を加えてグロッケンシュピールやハープ、チェレスタに対応して音のパレットをカラフルにしていた。この素敵なセンス。この無理しない柔軟性、好きだ。
 
 取材のメモ兼公式記録の一部として、今回もビデオを撮らせていただいた。何回も聴き返して飽きない。このままこのメンバーでもっと演奏を重ねれば、さらにさらに磨かれていく。そういう余白も感じさせる。学生オケを聴いていて面白さとともに感じるのは、この残念さだ。しかも、定期演奏会。すべてのマンクラ定演にいくことはできない。仲間内、OB、関係者間にしか残らず終えていく公演がやまのようにあるはずだ。
 というわけで、いろんな公演、もっと聴かせてくださいね? youtubeで。また、「ギターの時間」からの取材オファーメール受け取ったら、検討よろしく!!

 ビデオに残す為のノウハウ、つたないながら「ギターの時間」取材で得たハウツー連載を始めます。近日公開。
 
【プログラム】
応援歌「紺碧の空」古関裕而作曲 赤城淳編曲 WMG加筆
Kompeki no Sora / Koseki Yuji (Arr. Akagi Jun and WMG)
第一部
歌劇「はかなき人生」よりスペイン舞曲第1番 ファリャ作曲 赤城淳編曲
From the Opera “La Vida Brere” ( A Breif Life) Dance Espagnole(Spanish Dance) #1
Manuel de Falla (Arr. by Akagi Jun)
「ある貴紳のための幻想曲」より第一楽章 ロドリーゴ作曲 伊藤敏明編曲
1st Mov. from “Fantasia para un Gentilhombre”
Joaquin Rodrigo (Arr. by Ito Toshiaki)
組曲「スペインの印象」 ブーシェロン作曲 赤城淳編曲
Suite “Impression d’Espange” 1.Cortege 2. Serenade 3.Suos les oranges 4.Bolero
Eugene Boucheron (Arr. by Akagi Jun)

第二部
パヴァーヌ フォーレ作曲 伊藤敏明編曲
Pavane
Gabriel Faure […]