久保田孝氏とクボタフィロ・メンバーに聞く(3)インタビュー後編

「久保田 孝 傑作選」(2013.2.24定期公演)の見どころ聴きどころ
INTERVIEW-後編-

コミュニケーションを楽しむ

ーー今回までの練習で「先生、これはできません」と、久保田先生の要求にこたえられなかったということはなかったですか?
団員:
それは、ないですね。
久保田:ないですね。ただ、他の団体の演奏を聴いて、ここはこれでは無理なのかな、と思い、弾き方や譜面を変えたということはありますが。
大坪:ただ、思い返すと昔は部分練習、とくにひとり練習をもっといっぱいやっていたような気がします。その積み重ねが土台になっているということは大きい気がします。
堀(コンマス、ドラ):今日も少しやってましたが。
ーーああ、ひとりずつみんなの前で弾かされるんですよね。なにか試験みたいに。
久保田:
最初はコンマストかトップは弾かせない、というやりかたもやってたんですね。トップ以外のメンバーだけで弾かせるという、ね。
ーーあれは緊張しますね。生半可な状態だと、もう辞めたくなっちゃうのでは?
久保田:
間違ってたら間違ってることをわかったり、練習が足りないことが自覚できればいいんです。小さい音でごまかそうとしたりするのはいけないですね。
 性格もわかりますね。なかなか素直に反応できなかったり、逆に極端に反応したり。
ーーところで堀さんにとって、この2月の定期演奏会は2年ぶり、それと在籍10年目ですよね。なにか区切りの記念演奏会になりそうですね?
堀:
そうですね・・・。そんなに経っちゃいますね。
ーーマンドリンの堀さんというイメージが定着していますが、ここでは今回もギターですか?
堀:
ここ最近、ずっとギターパートをやらせていただいてきてるんですが、全体を把握していないと演奏はできないですし、どのパートでもそのへんの気持ちは変わらないですよ。
 改めて思うのは、さっき話題にされていた「同じ曲を繰り返し演奏すること」の意味、意義のことですけど、僕自身はCDに残された演奏も、リハーサルも、そしてもちろん本番も一度として同じ演奏ってないと思うんですよ。毎回違う。曲というのは題材であって奏者と久保田先生との音によるコミュニケーションなので、演奏する構成員が違えば、演奏も変わりますよね。だから新鮮です。
 一方で、今回はとくによく知っている曲ばかりであるし、次にどうなるかも知っている。先生に「この作品はこういう曲で、ここはこうで・・・」と説明していただいてきている積み重ねもあります。演奏中の余裕があるので弾いていてすごく楽しいです。予想を超えて楽しんでいます。

多彩な作品がまとまる計画も

ーー今回のプログラムは、すべてオリジナル編成ですよね?
久保田:
そうです。「ピアノとマンドリンオーケストラの為の幻想曲」で管が入る他は弦だけの編成です。
ーー「舞踊風組曲第2番」の構成は・・・
久保田:
序奏から始まり舞曲があって、ソロがあり、静かな部分、アレグロ、最初のアレグロと舞曲が続きテーマの組み合わせがあってエピソードにつないで、というような構成ですね。
ーーわかりやすいモチーフが繰り返し出てきて作品としてすんなり入ってくるのですが、聴き込むに連れてその展開やバリエーションが豊かで飽きません。個々のモチーフを発想してスケッチし、あとで時間をかけて構想しながら組み立てていった作品といってよいのでしょうか?
久保田:
いえ、違いますね。全体の構成が浮かんで一気に仕上げました。たしかに個々のスケッチは個別でしたが、作品としてまとめる時は流れが浮かび、一気に作りました。逆に、4番は別で、1曲1曲長い時間をかけて作っていきました。
 1番は、お手本にしたバルトークの作品に近い仕上がりになっていますね。最初だったので「どういうふうに作ろうか?」と考えながら作曲していきましたね。
ーー今回プログラムされた作品は、ファンの人気投票に合わせた「傑作選」ですが、団員の「傑作選」は、また少し違うんですか?
堀:
舞踊風組曲第1番はメンバー間で、人気ありますね。
久保田:「イセアーナ」「過去への祈り」という作品も僕は気に入っています。両方とも国民文化祭の委嘱を受けて書いたもので、「イセアーナ」は三重県の、そして「過去への祈り」は、その4年後に、大分県の委嘱で書きました。「傑作選」で片方だけ取り上げる、という事は、あまりしたくないので、今回は見送りました。
 ただ、それらはいわば描写音楽なのです。今回は結果として絶対音楽だけになりました。ですから、そこにそういう描写音楽をまぜても面白かったかもしれないですね。
ーーそういう対比を楽しむコンサートもいいですね。
大坪:
そうなんです。いろんなプログラミングが考えられますので、それを検討して2013年は「久保田孝 傑作選」や「全集」を想定したレコーディングを計画しています。そこではこれまでの未収録作品を集めてレコーディングすることになると思います。しかもフィロマンドリーネのメンバーだけではなく、久保田先生の古希を記念した“記念オーケストラ”を計画しています。

・・・というわけで、2月の「久保田孝 傑作選」を皮切りに、2013年はクボタフィロの記念年であり、ターニングポイントなる企画が予定されている。はからずもヴェルディ、ワグナーの生誕100周年の年でありクラシック音楽にとっても大きなターニングポイントである。その年に聴く「久保田孝 傑作選」は、マンドリン音楽にとって、新たな門出を宣言するメッセージになるはずだ。

第20回定期演奏会「久保田孝 傑作選」
http://www.philomandoline.com/concert.html#20th
2013年2月24日
東京・紀尾井ホール

午後2時開演
指揮:久保田孝 演奏:クボタ・フィロマンドリーネン・オルケスター
チケット全席指定(発売中)
第1部
序曲第1番(管なし)
幻想曲第1番
舞踊風組曲第2番
第2部
ピアノとマンドリンオーケストラの為の幻想曲(ピアノ:夏川由紀乃)
第3部
序曲第2番(管なし)
奇想曲イタリア(メゾソプラノ:井坂 恵)
舞踊風組曲第3番

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