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マンドリン演奏会報告

マリオケ6th コンサート(7/28)ドキュメント!

[flagallery gid=22 skin=photo_pro_demo name=Gallery](7/28 大阪・吹田市文化会館メイシアター大ホール 撮影・文:江部一孝)
 マリオネット・マンドリンオーケストラ(以下マリオケ)を初めて観たのは2010年練馬文化会館のことだった。この頃は結成して2年。音楽もサウンドも新鮮だったが、メンバー自身がマリオネットを楽しんでいる。その喜びがステージから伝わり楽しい気分にさせてくれた。その印象が強かった。

 マリオケはポルトガルギターの湯淺驍ニのデュオ「マリオネット」で活動しているマンドリニスト吉田剛士の呼びかけで主に関西のアマチュア演奏家が集まり結成された。「マリオネット」の名前が示す通り、デュオ=マリオネットの作品をオーケストラで演奏するオーケストラとして結成された。メンバーは、ほとんどがマリオネットのファンなのだ。マリオネットをきっかけに、加入した団員の呼びかけに、その後、“仲間の輪”は次第に広がっている。学生時代はイタリア・オリジナルをさんざん演奏したものの、その後ぱったりとマンドリンから離れ、以来カラーチェは、押し入れに保管され続けて30年。それを、このマリオケをきっかけに久しぶりに引っぱりだしたレディス&ジェントルメンも在籍する。その人たちのマリオネット・ナンバーを演奏する魅力と喜びがこのオケのすべてだと2年前は思った。

 公演後のパーティーで、何人かの団員さんと話した。
「吉田さんの指導はとても高度。頭はついていくのだけど、指が追いつかない」という人も、表情は楽しそうだ。一方、「機会があればソロでもやる」腕を持つ人も混在する。それがこのオーケストラで、じつはさまざまな演奏経歴の人たちが、マリオネットの同じ船に乗り合わせ、航海している。そのことによる個性が昨年から今年にかけて大きく花開いている。今回はその6回目の定期演奏会。印象は2年前とはだいぶ変わった。楽しいだけではないメッセージが音に込められている、と感じた。

 昨2011年から今年2012年にかけて、マリオケは大きな挑戦を続けている。ひとつは昨年実現したマカオでの大演奏会だ。これは「300人で弾く!マカオ世界遺産マンドリン大合奏ツアー」と題し、2011年12月2日(金)~5日(月)にかけて実行された。“東洋と西洋の交差する街、旧ポルトガル領・マカオ(現中国特別行政区)の世界遺産で300人規模の大マンドリン・オーケストラで演奏しよう”というもので、各地で公演しながらメンバーをつのり、目標の人数に届かなかったとはいえ、約180人という大人数で飛行機をチャーターしマカオ観光ツアーを兼ねてマンドリニストが大移動。〈ZIPANGUマンドリンオーケストラ〉の名のもとに彼の地で盛大にコンサートを行ってきた。

 このとき集まった有志メンバーとマリオケ・メンバー、そして地元東北からの奏者約30名と共に113名の出演者で行ったのが〈ZIPANGU「絆」マンドリンオーケストラ〉仙台公演。今年3/11、竹下景子さんを詩の朗読ゲストに迎え「詩の朗読と音楽の夕べ」と題して行われた。このイベントは、ことさら大きな宣伝もせず被災地近くで行われ、大きな感動の記憶を残した。このステージを今回の6thコンサートでは、一部をダイジェストとしてプログラムに組み込み構成した。

 全4部構成。洒落たメロディー、粋なリズム、ノスタルジックなハーモニーが交錯するマリオネット作品を中心に1部から3部まで構成。第4部がZIPANGU「絆」マンドリンオーケストラのステージ。
 朗読された詩は2編。「2台の幼稚園バス」(作:平石裕一)は大窪純子さん(1.17コンサート朗読詩入賞者)、「電話」(作:草野理恵子)を中永公子さん(HAIKU ARTIST)がそれぞれ朗読した。
 詩の内容は「2台の幼稚園バス」は、襲いくる津波に逃げ遅れたバス、津波が引いた後、乗車していた園児を探す母、泥の中から見つけた遺品に我が子を思う母の想いを詩にした。
「電話」は、日常が、既に遮られたにもかかわらず、ふと現実に「あの子からの電話が鳴るような気がする」と、謳う。ともに“せつない”など、ひとことで説明し切れない詩だ。詩になっているからかろうじて朗読もできるし、聞くことも、いや受け取ることもできる。そういう朗読のステージだ。
 これに湯淺、吉田は音楽をつけた。「雫」という曲は「仙台公演では朗読に合わせてこの曲を演奏しているとき、何人もの奏者が涙をこらえながら弾いているのを見て」吉田も泣きそうになりながら指揮したという。
 これは作品による感動ではないのでは?という気もする。かつ、これは「人を励ます応援ソングではなく、むしろ哀しみの中に沈潜していき、その彼方に突き抜けて解放されることを促す曲」とプログラムの解説にあるが、そのとおり。いや、むしろそれ以前。ともに、もう一度、いや、いつでも泣いて寄り添う為の作品だと思う。いつまでも泣いてはいられないのだけど、ときにはまだまだいっしょに泣こうよ。そういう音楽だと思った。

 ラストは「花だより」(作詞作曲:湯淺隆)。未来への希望を込めた歌。いやはやこういう構成はおそらく話だけ聞くと「くさい」!もう、かんべんして、という気もする。しかし現実にやさしいメロディー、メランコリックなサビ、保育園児たちの合唱、会場合わせての唱和。思わず歌っちゃいました、私も。泣きながら。

 おそらくこの体験を通して、マリオケは、一気に音楽で伝えるべきことを学んだのではないかと思う。2年前の演奏の記憶と異なるのはこの点からくる、音のまとまり、起伏/抑揚。根本的なアンサンブルのよさ。オケは、育つのですね!

【プログラム】
第1部

オーケストラ演奏
教会に眠るねこ (作曲:湯淺隆・吉田剛士 編曲:前田肇)
カーラジオから (作曲:吉田剛士・湯淺隆 編曲:森本和幸)
お嬢様の秘密 (作曲:湯淺隆・吉田剛士 編曲:前田肇)
フェスタス・デ・リスボア (作曲:湯淺隆 編曲:森本和幸)
アルファマの情事 (作曲:湯淺隆 編曲:橋爪皓佐)
第2部
カルテット演奏
1st 森本和幸 2nd 榎素代子 Mandola 榎和哉 Guitar 谷治毅
守銭奴 (作曲:湯淺隆・吉田剛士 編曲:森本和幸)
夜気に触れるとき (作曲:吉田剛士 編曲:森本和幸)
虎は通ったか? (作曲:湯淺隆・吉田剛士 編曲:森本和幸)
第3部
オーケストラ演奏
エイジアン・ブルー (作曲:湯淺隆・吉田剛士 編曲:橋爪皓佐)
夢は黒潮に乗って (作曲:湯淺隆・吉田剛士 編曲:御崎恵)
第4部
ZIPANGU「絆」マンドリンオーケストラ演奏
☆朗読:大窪純子 「2台の幼稚園バス」 (作:平石裕一)
  中永公子 「電話」 (作:草野理恵子)
☆うた:南ヶ丘保育園の園児の皆さん
光の中で (作曲:湯淺隆)
雫 (作曲:湯淺隆 編曲:吉田剛士)
花だより (作詞・作曲:湯淺隆 編曲:前田肇)

【関連リンク】
マリオネットマンドリンオーケストラ
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1 コメント

  1. 動画編集中です。「雫」〜「花だより」、何回見返しても泣く。そして子供らの歌と動きに笑う。思わず、そのことを書き込まずにいれない。フッ

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