ARTE TOKYOニュー・イヤー・コンサート2012

[flagallery gid=7 name=”Gallery”](2012年1月14日 第一生命ホール/撮影:かえるカメラ)

ARTE TOKYOが描く新しい世界

 年の初めにふさわしく、華やかでとびきり楽しいコンサートが東京で行われた。昨年6月に結成されたARTE TOKYOのニュー・イヤー・コンサートである。
 2部構成。第1部ではディズニー、ジブリの名曲を並べ、第2部ではシュトラウスのトリッチトラッチポルカ、喜歌劇「こうもり」序曲と、親しみやすい作品名が並ぶ。会場には小さい子供の姿もたくさん見かける。
 このコンサートは「マンドリンの演奏に触れたことのない子供たちにこそ楽しんでほしい」との思いから企画/構成され、クラシックコンサートでは珍しく、 未就学児童の入場がOKで無料となっていた。開演前にはホール入り口前のホワイエでマンドリンの体験コーナーも設置、小さな未来の演奏家がド レミを楽しんだ。
 ARTE TOKYOの出演者が音の鳴らし方をマンツーマンで教える。短時間ではあるけれど、初めてマンドリンに触れる子供たちは、教えられた通りの構えがなかなかできない。が、ポロローンと音が弾けた瞬間に見せる輝きに満ちた表情は、なんでも溶かしてしまいそうだ。こんな光景こそ、このコンサートならではかもしれない。印象的なひとときがあちらこちらに見られた。

 プログラムは、オープニングになんと、AKB48メドレーを持ってきた。しかもメンバー有志によるダンス付き。会場が一気に盛り上がる。ついつい メンバーのダンス、振り付け、動線に眼を奪われるが、軽快で華やかな曲/アレンジをARTEはエネルギッシュに演奏し、それがピタリとはまっている。この メドレーの演奏中は、マンドリン・オーケストラという枠を忘れて聴いている。なにものにもとらわれない自由で楽しい発想、そして常に挑戦していく姿勢。 「マンドリンらしさ」とか言う前に、音楽! これがこの日のARTEだ。
more PHOTO アルバム

 第1部前半は、AKB48に続いてディズニー作品。このディズニーコーナーは「ディズニーランド組曲2012」として演奏回数も多い作品を並べた のだが、これが半端ではない。ことに「ミッキーマウス・ア・ラ・カルト」のタイトル作品は、ディズニー名曲数曲を散りばめたスペシャル・アレンジで、編曲 は遠藤秀安氏。これが聴きもの。めくるめくディズニーの楽しさ、ディズニーが描くファンタジーをマンドリン合奏に落とし込み見事な時間を作り出した。指揮 はメンバーから抜擢された清水祐希さん、18歳。ディズニーにちなんだアリスのコスチュームによる指揮ぶりは、それだけで伝説だ!
 第1部後半にジブリ作品。指揮した松田正幸さんはもののけ姫の主人公アシタカのコスチュームで登場。その表情がよく見て取れないのが残念だったが、これ また鮮やかなまとめ方で久石譲作品の緩急を聴かせた。なお、特筆しておきたいのが「さんぽ」(となりのトトロ)。演奏者全員が、 途中から肉声で歌いだしたのだ。これがよかった。
 歌は、器楽をかんたんに越えてしまう場合がある。器楽演奏家にとって、歌は永遠のライバルだろう。ことにマンドリン合奏にあっては、マンドリン以外の 楽器を導入することに、常に真剣に向き合っていると思う。そこにマンドリン合奏の面白み、醍醐味もあるから。が、今回は、「音楽を小さな子供に届けるこ と」が第一とのことからか。歌~合唱の強さを知っているARTEならではの“作戦”勝ちといえるだろうか。会場を温かさですっぽり包み込んで第1部を終え た。

 第2部の前半は、ゲストにジブリ映画のサウンドトラックの主役・木村弓さん本人が登場しジブリの世界をさらに深く広く聴かせた。映画「千と千尋の神隠し」のテーマ「いつも何度でも」 をライアー(竪琴)の弾き語りで披露。声も楽器も美しく済んだトーンが心に響く。続いてオーケストラとともに「いのちの名前」「世界の約束」「翼」が 演奏された。マンドリンの響きと優しい歌声で映画の名シーンが次々に浮ぶ。ARTEの演奏ヒストリーの中でも屈指の贅沢なひとときとなったはずだ。
 2部後半はウィーンフィルのニューイヤーコンサートを彷彿させるポルカでたたみかけて締め。うまい! テンポも小気味よい。思わずうなる。自然に手拍子もわき上がる。子供も大人もいっしょに。

 新しいことに向かって努力を惜しまない姿勢。本番の凄まじいほどの集中力。音楽がひとつに高まっていく興奮。そんなARTEの、エネルギッシュで 生き生きとした演奏は実に元気づけられる。この演奏会ではじめてマンドリン音楽に触れた子供たちはきっと、音楽に、マンドリンに、興味をもってくれるだろ う。さて、今年もARTEはどんなおもしろいことを見せてくれるのか、わくわくして追いたい。

 なお、今年ARTE MANDOLINISTICAは、第1回全日本マンドリン合奏コンクール 」という、これもまた音楽会に大きな一石を投じるイベント/コンクールを8月に開催する。
 課題曲は遠藤 秀安 作曲「セイリング・デイ―出航―」(委嘱作品)作曲・編曲 遠藤秀安のホームページ
 この楽譜の頒布は2月1日、ARTE MANDOLINISTICAのホームページで開始。以後の主な日程は5月31日(木): 予備審査締め切り 6月15日(金): 予備審査の発表、出場団体の決定 8月18日(土): 本選@昭和女子大学人見記念講堂。

 マンドリンの新しい地平が、ARTEを先頭に今、まさに切り開かれながら2012年が始まっている。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*
*