9月3日杉並公会堂(東京)で行われた、竹間久枝マンドリン・リサイタルは、マンドリン・オリジナル作品ではなく、全曲、自身の選曲により「あえてヴァイオリンの作品ばかり」並べた挑戦的なプログラムであった。が、演奏会は、そのアグレッシブな気持ちとは逆に美しいメロディーやリズムがピアノと掛け合う、楽しいコンサートだった。
ブログをのぞくと、公演前、こんなフレーズが並んでいた。
プログラミングは、いつもいつも非常に悩みます。
イージーリスニングみたいに有名だったり聴きやすい曲ばかり並べるのは嫌や。
脈絡のない流れで適当に弾きたい曲を並べるのも嫌。
マンネリ化は避けたい。
起承転結のあるプログラムを組みたい。
(選ばれた曲のうち)ボッシとシュニトケの組曲は、多分マンドリンでほとんど弾かれていないと思いますが本当にマンドリンに似合う、ええ作品なんですよー。
ピアノは瀬川 玄。冒頭から軽やかな響きがマンドリンの音色、音量との調和が気持ちよい。竹間さんの語りもたくみで客席を和ませる。
プログラムは、ヴァイオリンのボウイングをトレモロで置き換えて演奏している、とはまったく思わせない。これには驚いた。モーツアルトの時代、マンドリンの先祖に当たる楽器やリュートがあったことを思っても思わなくても、この時代の音楽は、内側にマンドリンが奏でて不自然ではない音列と音階を持っているのだと思う。いや、そこが選曲の妙だと思う。演奏者の、音符、フレーズに対する理解も重要だと思うけど。
ソロ・マンドリンの演奏会がギターに比べて少ない中、彼女のようなパフォーマーの活躍する場所と機会がもっとほしい。
【プログラム】
古い形式による組曲/A.シュニトケ
組曲形式による4つの小品/M.E.ボッシ
ポロネーズ/ヴィエニアフスキ
ヴァイオリンソナタホ短調KV.304/W.A.モーツァルト
ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調KV.219/W.A.モーツァルト