MMO TIMES第3回。アドバイザー福田進一氏も参加。実録8月13日リハーサル

  去る8月13日、メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ(以下MMO)は、東京都内東大島の文化センターで、このオーケストラのアドバイザーであるプロ・ギタリスト、福田進一氏も参加し、リハーサルを行った。この日のメインはラヴェル(笹崎譲編曲)/弦楽四重奏曲のチェック。
 福田さんとMMOとの交流は、北爪道夫氏の作品初演時、ゲスト・ギタリストとして共演して以来。
 そもそも福田さんのギタリストとしての音楽志向、音楽家としての知見は、基本的にはオールマイティである。が、ひとりの音楽愛好家としての指向は、レポーターから見てMMOと重なるところが多いように思う。そしてそれに留まらず、音楽への姿勢も共感し合うところが多いように見える。このあたりが、福田さん自身がこのオケのアドバイザーを引き受けたポイントであろうし、それゆえオケも全幅の信頼のもと、アドバイスを求めるのだと思う。

 さて、ラヴェル。比較的初期の作品ながら、円熟期のオーケストレーションを彷彿させるところも散見される、きわめて難度の高い作品だ。つまり弦楽四重奏だけで、ラヴェルのカラフルなディテールが描かれている。これを、マンドリン・オケで再創造する!
 理論上は、楽譜の各パート細部を丁寧に弾き込めば、必ずあの和声が響き、音楽が鳴る、という計算のもとに編曲された。そして、その目論みは、見事当たっている。福田さんも、「よくもまあ、この曲をこの編成に再構成したものだ」と感心する。楽譜では、ラヴェルが、すでに鳴っているのだ。
 この日は正指揮者である小出雄聖氏がまとめていく。冒頭から順に、表情づけの方向や、強弱の加減など、小出さんは、ときに福田さんの感想を求めたりしながら進める。が、演奏していくと、ところどころ思い通りに響いてこない箇所に突き当たる。ニュアンスに乏しいという感じだろうか。
 まだ模索が続く段階の中、複数の意見、異なる言い方で、的確な方向付けの確認が短時間でなされ、オケは、それをすぐに実現させていく。同じフレーズでも、「弾き方」で、こうも変化していくという実例を見ているのはとてもおもしろい。が、それだけではどうしても解決しない部分も出てくる。パートごとの難度の高いパッセージが、まだ邪魔をしている感じだ。

 ことに、この日足踏みしたのは2楽章中盤のギター・パート。ギター好きなら知っているブローウェルの難曲のようなフレーズが頻出する場所があるのだ。編曲者・笹崎さんの頭の中では鳴っていても、現実に複数の弾き手が「合わせる」となると、なかなか難しいようだ。傍らで楽譜を眺めながら聴いていた福田さんからも「これは難しいね」との意見。フレーズそのものもそうだが、それを合わせて雰囲気を作り出すことが、さらに難しい。素早い32分音符で、しかも弦をまたぐ分散和音が連続する箇所があったりする。たしかに名手揃いでも、簡単にはいかないかもしれない。
 福田さんからいくつか具体的なアイディアが出された。ギター・パートのフレーズを、さらにAパートBパートに分けてそれぞれをシンプル化する。トータルで、求めるフレージングと響きを実現してはどうか? など。

 ギターに関して、細かな奏法に関しても丁寧にアドバイスされていた。ピチカートではブリッジを押さえ続けすぎないこと。頭の音だけミュートしたら余韻は残す。またヴィブラートも常用したほうがいい、ということも。ことに印象派の音楽にとって、余韻に残る和声感こそ重要だ、という指摘だ。
 各パートのグレードアップがこのように図られながらも、本番までの日数は次第に迫ってきている。しかし、課題は具体的になっている。リハーサルはあと数回であっても、このオーケストラは、ラヴェルが書いた弦楽四重奏を、マンドリン・オーケストラで必ず再創造するだろう。
 「ラヴェルは、マンドリン・オーケストラをかく鳴らすであろう」というその完成形は、まだ世界中の誰も耳にしたことがない。この“世界初演”は、9月19日、紀尾井ホール(東京)で体験することができる。(レポート/写真:江部)
 
※9/19開演14:00 紀尾井ホール(東京・四谷) チケットは「ギターの時間 オンラインショップ」へどうぞ。
※MMOでは来年度の参加者を募集しています。この回のレポートをきっかけにこのオーケストラに興味を持った方、老若男女問わず同オーケストラ事務局まで連絡をどうぞ。この記事からコメントを寄せていただいてもオーケーです。

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