ギターの時間|gtnjkn

for around 50's,60's,70's,80's,90's,100's…Music Lovers.

マンドリン演奏会報告

クボタフィロPRESS No.4:2/12定演準備レポート第4弾

クボタフィロ1クボタフィロ2
クボタフィロ3 1月下旬、クボタ フィロマンドリーネン オルケスター2月12日の定期演奏会「ウィーンの薫り」(紀尾井ホール・東京)に向けて行われているリハーサルを追った。取材させていただいたのは東京芸術劇場(池袋)。練習室に向かう道、昼からの参加者らしい人がマンドリンケース片手に同じ会場を目指す。あとを追って練習スタジオに入ろうとすると、なんだか顔ぶれが違う。前日みなとみらいホールのステージで眺めた顔が何人か。なんとこの日、アンサンブル・ビアンカフィオーリも隣で練習だった。


さて、朝からほぼ計画通りの進行で部分的なチェックと確認をはさみながら、1曲ずつ仕上げに向けて練習が続いていたクボタフィロ。今までと違い、本番で予定しているパーカッショニストが各楽器と共に揃った。また夕方には「ウィーンの森の物語」でソリストとして迎えるツイター(チター)の内藤さんが加わった。http://gj.294bros.com/news/KUBOTAPHILOPRESS/kubota0012.jpg
短い休憩を挟みながらほぼ全曲を一日でさらう。課題をすぐに見つけ、その場で解決していく。複雑になりがちなフレーズでは、トレモロの回数がまだ揃わなかったりする。すぐに演奏を止めパートごとに確認。
このトレモロ回数を揃えることが、久保田さんのまとめかたの特徴とされていて、この是非がいまもときどき話題になることがあるようだが、こうして練習を聴いたり見たりしていると「揃える」ことで難問が軽く、というか短時間で解決されていく。マンドリン合奏を成功させる合理的な手法であることを確信させる。その成果、断片ではあるが、今回紹介する動画で確認できると思う。たとえば「美しき青きドナウ」の2010年11月バージョンは初めての楽譜初見のセッションと今回の2011年1月バージョン。
ところでシュトラス2世の、この作品、映画では「2001年宇宙の旅」の中でスタンリー・キューブリックが使ったことで世界的にかつ一般的に見直された作品でもある。そうでなくてもウィンナワルツといえばシュトラウス2世。
シュトラウス2世といえば「皇帝円舞曲」「ウィーンの森の物語」そしてこの曲。というわけだが、PANと呼ばれるゆっくりと宇宙船を追っていくカメラワークが、公開された1969年当時の青少年をわくわくさせたことが昨日のように思い出される。使われていたのはメインテーマである「ツァラトストラはかく語りき」(R.シュトラウス)同様、カラヤン指揮ウィーンフィルである。 

そのシルクのような弦楽セクションによる作品とマンドリンオーケストラ。真っ向対決で比較するという意図ではないのだが、マンドリン合奏で生成されていく音楽の渦中にいると、弦楽VSマンドリンという構図は、最近いつも消えている。
むしろあとで弦楽を聴きなおすとさらさらし過ぎていて物足りないと思ってしまう。2年前には感じなかった自分の感想に驚く。

これはマンドリンの音に慣れたという単純な言い方もできるが、トレモロ・アンサンブルの魅力に引きづり込まれた証拠だと思うし、同時にマンドリンのトレモロ・アンサンブルの魅力というのは、それだけ、どういう意味においても伝わりにくい面を持っているということだと思っている。どんな理由で、一般音楽ファンの耳を遠ざけているのか、近づいて行きにくいのか。その答えも今年みつかりそうな気がする。
熟成を続けるクボタフィロのアンサンブルがホールで、本番で奏でる余韻がその答えの最初の大きなヒントになりそうだ。

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です