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マンドリンインタビュー

高柳未来-3- ソロの音、自分の音

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(撮影:かえるcamera)

前橋文学館特別企画展
「萩原朔太郎の音楽」
関連イベント

第99回アートステージ
高柳未来
マンドリンリサイタル

萩原朔太郎が作曲したマンドリンソロ曲「A WEAVING GIRL (機織る乙女)」を、本年キングレコードより初CD化した新進マンドリン奏者によるマンドリンリサイタル。朔太郎の生み出した音楽が今ここによみがえります。
■出演 高柳未来(マンドリン奏者)ほか
■日時 11月27日(土) 13時30分開場 14時開演
■会場 3階ホール
■お申し込み 電話(027-235-8011)またはメール(maebungaku@m-pco.jp)にて。
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■ソロ・コンサートによせて
ーー演奏会などで通して弾くとまた違った演奏になるのでしょうか?
高柳:私は、演奏というのは弾くたびに違っていいと思っています。「あのときは情熱的に弾いたけど、今度はさらっといってみよう」とか。CDのとおりにライブで弾こうとは 思っていません。もちろん同じ調子で弾く部分もありますが、全く同じにはなりません。自分の伝えたいことを、その日その場の気持ちを演奏で伝えていきたいです。
宮山:CDは商品ですので、間違いがあってはいけませんしね。参考にする人たちも出てくるでしょうし。楽譜に完全に忠実です。朔太郎の曲も、間違ってるんじゃないだろうか、というところまで忠実です。
高柳:「機織る乙女」は最後の音が、ちょっと変な音がするので、初めて聴いた方がちょっとずっこけちゃうかもしれません。でもそう書かれているんです。
ーー朔太郎さんの曲は最初に演奏したのですか?
宮山:最初のほうで録ったんですが、最終テイクは、理由があって録り直しました。最初録音したときは中野二郎さんの校訂譜でした。そのあと朔太郎の直筆譜をみたらあまりにも違うので、もう一度検討し直して録音しました。
朔太郎はもともとプロの音楽家ではないですが、マンドリンの曲は数が少ないですし、日本人の作品として貴重なものだと思います。だから、その“オリジナル”を尊重しました。
ーー朔太郎さんはどんな人だったと思いますか?
高柳:写真を見るとかっこいいなと思います。萩原朔太郎。最初は国語の教科書に出てきた人というくらいの認識しかなかったんですが、前橋文学館で朔太郎の講座を受け、作品を読んだり、絵や写真を見て知識を深めました。「月に吠える」も読みました。朔太郎の詩は不気味で猟奇的だけど何か、惹かれる。あの曲も、ただかわいいだけじゃなくて、不思議なところがあるんだと思います。そうやって理解を深めると、最後の音は間違えたんじゃなくてわざとそうしたんじゃないかと思えてきました。萩原朔実さんにもお会いしてお話しできて、さらに興味を深めました。朔実さんもとてもおもしろい方でした。
ーーところで高柳さんの楽器は落合でしたか?
高柳:はい。高校2年生で、コンサートマスターになるときにカスタムモデルに買い替えました。それまでは中学の時始め頃に買った同じ落合のエントリー・モデルでした。優しい音ですが、でも細いわけではなくて。私はずっと落合を弾いているので、耳に馴染んでいます。
ーーそうですか。独奏コンクールのとき聴かせていただいた高柳さんの演奏、音がズバ抜けているように聴こえました。演奏なのか、楽器なのか。おそらくそのどちらも影響していることだと思いますが。そのことと全体の演奏評価の判断は、審査する方次第だと思うので、コンクールというのは難しい面があるな、とも感じたのですが。
宮山:2年前のコンクールの時もそうでした。あのときも最後に演奏したんですよね。最後彼女が演奏したら、音が違って・・・。以来高柳さんに注目していたんです。
高柳:うーん。他の楽器、ピアノ、パイプオルガンをやってきたせいもあるかもしれません。 ホールの中でどんなふうに音が飛んでいるのかを、演奏しながら気にしているというのも関係しているのかもしれません。
ーーそれ、ギターの名手も必ず言うことですね。ソロ演奏する人には不可欠なポイントです、プロでもその意識の薄い
演奏家はいますよ!
高柳:自分で出したい音は完璧には作れていません。それを理想に近づけていきたいと思います。音のバランスは常に気にしています。楽譜に書かれている音は全部出したいので、出してみてバランスよく聴こえるように練習しています。
ーーどう聴こえているか想像しているということですか?
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高柳:そうです。空気が振動して音は聴こえます。自分の周りだけの空間で収まっても仕方ないですよね。聴いている人に届いて初めて、演奏している、音 楽をしている意味につながります。だから聴こえ方はいつも気にしています。自分を客観的に感じることは欠かせないことだと思います。
ーーこれから高柳さんの独奏を聴ける機会が増えるとうれしいですね。とりあえずは11月27日の演奏会、楽しみです。
(おしまい)


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