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マンドリンインタビュー

高柳未来-2- マンドリン1台の可能性

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(撮影:ギターの時間)
レコーディングエピソード
ーーソロ演奏についてお聞きしたいのですが。マンドリンはピアノと違って音域が狭いですよね。音色も独特ですし、そのあたりはどう感じてこられましたか?
高柳:自分の出す音色については今も開発中です。ソロ演奏についてですが、まずアンサンブルがしっかりできていないとソロは弾けないんですよね。ソロはメロディーも 伴奏も全部一人で演奏します。ですから全体のバランスがとれていないと音楽になりません。ヤマハのジュニア専門コースに通っていたときに、エレクトーンで オーケストラの曲を演奏しました。そこでアンサンブルの勉強ができましたし、マンドリンを始めたときもアンサンブルからでした。だから、その経験が生きていると思います。
ーー高柳さんの弾き方、ソロの曲もデュオの曲も、音楽として完成度が高いと感じています。でも重ねて伺いますがマンドリンは高音寄りの楽器ですね。「ソロが成立するのか?」という疑問はありませんでしたか?
高柳:ありません。私は演奏するときに全体のバランスをいつも考えています。大学のときにはパイプ・オルガンもやっていたのですが、一人でいろ いろな声部を弾くので、オーケストレーションを自然に意識していました。マンドリンはヴァイオリンと同じ5度調弦でほぼ同じ音域ですし、ソロで演奏できる音域が狭くても、音の組み合わせによってカバーできると思います。
レコーディング
ーーなるほど。ところでアルバムの選曲は?
高柳:これは宮山さんが用意してくださった曲です。
ーー久保田先生からも指導を受けたのですか?
高柳:はい。レコーディングに入ってから入れ替わった曲もあるのですが、久保田先生に指導していただきました。音楽的なことや技術的なことを毎回レッスンに行くたびに相談しました。
ーー曲の解釈方法などは、オーケストラの指導と一緒ですか
高柳:はいそうですね。どの曲だからどう解釈する、というのでなく、楽理とか正しい解釈をすればほとんど違いはありません。やらなきゃいけないこと、解釈の手順の基本はいっしょですから、ちゃんと勉強していけば根幹の部分は違いません。細かい音の切り方とかは個性が出ますけど。全くオーケストラで弾くのと変わりません。
ーーレコーディングを一部見させていただきました。3月の終わり頃でしたよね。ベートーベンのアンダンテと変奏に苦労していましたね?
高柳:そうですね(笑)。何度も弾きました。
ーーピアノの高良さんは「ウマイ!」と思わせる弾き方というか、ノセてくれるような演奏に聴こえました。呼吸を上手につかむんでしょうかね? いかがでしたか?
高柳:はい。とてもすてきな演奏をしてくださいました。すごくうまく合わせてくださるんです。ほんとうに心地ちよく弾けました。
ーー技術的に手こずった曲もありましたか。
高柳:練習してみて、ひとつの方法で先が見えて「ダメだ」と思ったら、別の方法を考え、克服してきたつもりですが・・・。
ーーとくに苦労した曲はありますか?
高柳:全部たいへんでした(笑)。ほとんど世の中に録音が出ている曲ではないので、宮山さん、高良さん、みんなでゼロから作り上げた感じです。
宮山:とくに斎藤秀雄、成田為三の作品は、二重奏を一人で弾いていますから、その大変さもありましたよね。
高柳:そうですね。でもひとりで2パートを弾くというのはとても楽しい作業でした。自分の声の録音を初めて聴いた時みたいなおもしろさがありました。気づかなかった自分の癖を改めて発見できたり。

(つづく)

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