ビートルズの《アンソロジー》3作が明日6月15日、iTunesでデジタル・デビュー

 内容は3作のバラ(各3,000円)のほか、155曲収録の《アンソロジー・ボックス・セット》と23曲収録の《アンソロジー・ハイライツ》。それぞれiTunesの独占販売。appleのビートルズに対する愛とビジネス執念を感じる。
 この中で初登場は、23曲を集めたiTunes独占の《アンソロジー・ハイライツ》(2,000円)。これがお買得かどうか悩むところ? 直前のウィンドウは、まだ「予約注文」の文字が見えるが、30秒ずつの試聴は可能。たぶん明日からも試聴はOK。この《アンソロジー》の内容を紹介するスペシャル・ビデオとラジオ番組「ミート・ザ・ビートルズ」の無料ストリーミングが視聴できるのはうれしい。

(以下EMI JAPANのサイトから引用)
《アンソロジーVol.1~3》は、EMIのアビイ・ロード・スタジオでビートルズのオリジナルUK盤を、原音のアナログ・レコーディングに忠実にリマスターしたエンジニアのチームによって、デジタル・リマスターされている。その成果が、オリジナルのリリース以来となる高度な再現性だ。それぞれの作品には、ビートルズの有名な画像をもとにクラウス・フォアマンが作成したコラージュのアートワークもフィーチャーされている。

 もともと1995年と1996年に2枚組CDとしてリリースされた《アンソロジー》は、それまで未発表だった珍しいビートルズのレコーディングを時代別に並べた全3作のコレクションで、その中にはスタジオでのアウトテイクや別ヴァージョンなどが含まれている。それぞれ《アンソロジーVol.1》と《Vol.2》からシングル・カットされた〈フリー・アズ・ア・バード〉と〈リアル・ラヴ〉は、1977年にジョン・レノンがレコーディングしたデモ・テープをもとに、ジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターが1995年に完成させたナンバーだ。
(中略)
 ビートルズは現在までに、世界中のiTunesで800万を越える曲、そして130万を越えるアルバムを売り上げている。
(以上EMI JAPANのサイトから引用)

 1996年当時、この企画が登場した頃わたしはほとんど興味を持たなかった。原曲が体に馴染みきっているつもりだったし、なにより当時は世の中のポップチューンが面白かった。聴いてる暇などない、と思っていた。聴いてもなにか懐かしがるだけのマニアのものだと思っていたのだ。これが2000年頃最寄りの図書館にあった同セットを聴いて変わった。愕然とした。オリジナルより面白いではないか! 
 これは世の中に既に出ていた完パケテイクを知っていたからだと思うが、その「創造の過程」がこんなに赤裸々に公開されていいのか? という「覗き趣味的な」快感・・・というより激しい興奮を伴っていたのだ。というとなにか、だいぶイヤらしい感じもするかもしれんけど、まあいいや。

□興奮ポイントその1:完パケテイクとの差は、収録された途中テイクによって、また曲によって異なるけどほんのわずか。ビートルズマジックとしか言いようがない。マジックの決めてはもちろん四人のほかにプロデューサー、エンジニアを含めての話。瞬時に変わる。この切り替わり!

□興奮ポイントその2:音が、いい。ギターの音も、ボーカルも、ハモも。
 2000年頃、ちまたにビートルズを多重録音で作る趣味が横行していた。ほんの一部の音楽好きの間に、であるが。デジタル・レコーディングが、とても身近な機材でできるようになった恩恵だった。
 あの“つんく”もその流れにのって、シャ乱Qとは別に、ひとりでオリジナル企画としてアビーロード・スタジオまで出向き、ビートルズ・ナンバーを録音した。なるべく往時の機材を出してもらい、それらアナログ機器を駆使して素材を作り、それをデジタル処理と併用しつつ「ビートルズの音」を作ろうとした。たしかに近づいた。が、しかし、すべては模倣。ビートルズの音は、ビートルズ(とそのスタッフ)にしかできないのだな、と思った。そのことは、つんく自身、インタビューに答えて話してくれた。またこの取材時、そのレコーディングを担当した伝説のエンジニア蜂屋量夫氏も話してくれた。(蜂屋氏:東芝EMIに所属しプラスティックミカバンド、オフコースなどの名作に関わった。氏の話でおもしろかったのは、「当時の音に近づける」とは、現代の機器からすれば「劣化させること」にほかならなく、録音素材であるアナログ・テープによる音の圧縮〜コンプレッションや、真空管マイク、ミキサー機器による歪みとの合成など。それらのデジタル再現はとほうもなくめんどくさいというようなことであったと記憶する)。
 じつは私も多重録音した(笑)。演奏し、打ち込み、うたった。近づけようとする過程で発見する様々なポイントは、下手はへたなりにだが、ビートルズの再発見にもつながりそれはそれは面白く、さらに、この《アンソロジー》をおもしろく体験させてくれるものであった。つんくのボーカルが嫌いでなければ、これは今でもとてもおもしろいアルバムだ。
A HARD DAY’S NIGHT つんくが完コピーやっちゃった ヤァ!ヤァ!ヤァ! VOL.1

□興奮ポイントその3:当時のスタジオが生々しい。これを聴くと、あのアビーロードで起きていた音楽的な事件が、どう現場検証しようとしても再現しがたい空気に満ちていたであろうことを想像させる。その終盤の空気は映画「レット・イット・ビー」にまとめられるが。あの空気もまた当時の現実だろうから、眺めるたびにせつない。しかしそれもこれも、ふとわれに返ると40年以上前のできごとなのだ。この時間の長さというか短さというか・・・。不思議だ。アナログだからこそ記録できた空気。それを今度はデジタルだからこそ、そのアナログの良さをリニアに再現し40年という時間を一気に圧縮する・・・このハイブリッドなプロダクションも不思議な話だ。

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