メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ、始動。


 メトロポリタン・マンドリン・オーケストラのキックオフ・ミーティングは、当年演奏会に向けて行われる最初のミーティングにあたる。今年は3月20日に予定されていたが先の大震災で延期。4月3日、目黒区の住区センターで行われた。

 ミーティングの内容は、今年のプログラムに関するオリエンテーション/勉強会で、この日はドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」を課題として行われた。11時、新しく参加したメンバーの紹介から始まり昼食を挟み午後3時過ぎまで。解説/講師は笹崎 譲さん。このオケの編曲者であり、チーフプロデューサーである。譜例、スライド、動画を使って曲のツボを解説して行くが、笹崎さん自身の達者なピアノによる実音演奏もはさまれて解説されるのでとてもわかりやすい。

 以前から楽器演奏の基礎などの勉強会を行っていたそうだが、取り上げる曲の解説を積極的に始めたのは5年ほど前から。合奏の時間だけではなく、わざわざ別に時間を割いて詳しい解説を行っている理由を聞いてみた。

『もちろん音楽づくりに必要不可欠だということもあります。ですがそれ以上に、自分たちが演奏する曲の素晴らしさや、わざわざその曲を取り上げる意義を共有することで、もっと音楽に深い愛着を持てると思ったからです』(笹崎さん 以下同)とのこと。『アマチュア音楽家だからこそ可能なことを突き詰めて考えたとき、曲を深く理解するための期間が取れる、という大きなメリットがあることに気が付いたんです。ともすると技術的な面だけに時間を割いてしまいがちですが、音楽そのものに目を向けることで、よい音楽に関われるほんとうの楽しさや喜びが味わえますからね』。

○具体的な解説を一部抜粋
 配られた資料の一つに「牧神〜」をより深く理解するためのキーワードが並べられていた。これを手がかりにしつつ進める。そしてこの作品の個性を際立たせている箇所を譜例で拾い出してあり、その譜例を眺めながら、ときにピアノでなぞりながら解説していく。
 資料はほかに「形式分析表」。これが圧巻で、昨年シベリウスの理解を深めるべく作成したというその表を見せていただいたときにもびっくりしたが、この「牧神〜」でも作成されていた。
 縦軸は小節数。
 横軸にテンポや拍子などの基礎情報、主要動機、そして際立った特徴・・・たとえば半音階進行、主要主題の音程間隔(インターバル)などが示される。
 たとえばこの作品はドビュッシーらしさに満ちていて、その個性は「増4度」の使い方に現れている、というふうによく解説されるが、それだけではなく『短3度で構成された4つの音高そのものが重要(短3度という音程間隔ではなくて)』とのこと。その4つの音程が曲のどこに出てくるかもこの資料で図式化されている。また、長調や短調の3和音がほとんど出てこない、などといった大きな特徴も一目瞭然。

 この日の解説では、一聴してわかりにくい低音部でも重要な増4度が出てくる部分があること、主調であるホ長調をなかなか明示しない仕掛け、などなど、そこかしこに隠された細かな特徴を最後まで丁寧に見ていった。合奏の上で、自分の鳴らす音がどんな役割を果たすのか。この時点で編曲者から明解に示されている。もちろん合わせた上でどのように響いていくかは実際これからなのだが、どの一音も手を抜けない緊張が伝わる。

 ひと通り解説が終わると、数多い「牧神〜」の演奏の中から特別にセレクトされたバレエ映像やオーケストラ演奏を全員で鑑賞。そして、3時過ぎから最初の音だし。曲は変わって、この日までに楽譜が完成していた「弦楽四重奏曲/ラヴェル」。指揮は解説と同じく笹崎さん。当日集合した30人のメンバーは、初めての合わせに慎重に、手探りしながら合わせていたが、すでにあの和声が見事に響いていて、先々とても楽しみだった。

 練習は随時進行している。途中からの参加も歓迎とのことなので、ドビュッシーをきっかけにこのオーケストラに興味を持った方、老若男女問わず同オーケストラ事務局まで連絡をどうぞ。この記事からコメントを寄せていただいてもオーケー、とのこと。

矢印メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ事務局にメールする
矢印第22回定期演奏会( 2011年9月19日)特設ホームページ

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