List/Grid

マンドリンインタビュー Subscribe to マンドリンインタビュー

クボタフィロ第20回定期公演ライヴCDが、8/20発売。さらに久保田孝作品全集CDも制作たけなわ!

クボタフィロ第20回定期公演ライヴCDが、8/20発売。さらに久保田孝作品全集CDも制作たけなわ!

 クボタ・フィロマンドリーネン・オルケスターこと〈クボタフィロ〉は2013年2月の定期公演直後、「今年は『久保田孝作品集』のCD制作も計画している」ことを発表した。夏を前に予定通りレコーディングが始まり、8月を過ぎた時点でほぼ収録作業が終わったようだ。7月、リハーサル現場を訪ね話を聞いた。このとき演奏していたのは「交響曲第1番」。管楽器とパーカッションも参加した初めてのリハーサルだ。翌週は、録音の本番だというタイミングでのインタビュー、そしてレコーディング本番の写真レポートをどうぞ。(スチル撮影:かえるカメラ)

——録音のための演奏とコンサートホールの本番では演奏に違いが出ると思うのですが?
 
久保田:ステージと会場の雰囲気の違いは、あきらかにありますから、それは違います。お客様の顔が見えるホールではやはりわくわくする高揚感もありますし。
 一方録音目的の演奏では、お客様がいらっしゃらないぶんリラックスできるという面があります。それとやり直しが効くという、メリットもある。しかしやはり一種の甘えと言いましょうか、そういうものも無いとは言い切れませんね。だから自分で気持ちをコントロールして高めて行かなければいけませんし、音楽に入り込んで行かないといけないですし。
——そういう意味では録音でいい演奏を残すというのはステージの公演よりはるかに難しいことに思えます。今回レコーディングにいたったいきさつを教えて下さい。

大坪:今回の企画は、私たち団員から提案させていただいたものなんです。60歳(還暦)を迎えられたときは、先生の指導される団体が勢揃いし、先生の作曲作品、編曲作品でプログラムを組んだ「還暦コンサート」をサントリーホールで行いました。記録CDも作りましたが、メインはコンサートでした。
 10年を経て、今度は古希(70歳)を記念して、今度は先生の作品全集として、まとめさせていただきたい、と思ったわけです。

久保田:うれしいですね(笑)。実際、主立った作品は定期演奏会を通じても紹介させていただいてきましたが、やはり定期にかけるのをためらっていた作品や、定期の場では演奏しにくい小品もまだたくさんありましたので、これらも集めてみようということですね。

——第20回定期演奏会の「傑作選」CDとは別に企画されたわけですね。いざレコーディングとなると、これまでのステージやリハーサル現場とは異なる側面が出たり出なかったり。そんなことがあるのではないかと思うのですが?

久保田:この企画で初めてとり上げる作品に関しては、楽譜までの段階ではちょっと恥ずかしいかもしれない、と躊躇しているところもあったのですが、いざ音にしてみると、意外と言いたいことを言っているじゃないか、と、安心しています。(笑)
 もちろん未熟だな、と思えたりミスがあれば現場で手直ししながらやっています。

——先週と今日とリハーサルで聴かせていただいている「交響曲第1番」がそうした作品のひとつですね?

久保田:そうです。これは留学から帰ってきてから最初に書いたものです。

——交響曲を書くというのは、特別な思いがあったのではないかと思うのですが?
 
久保田:僕はマンドリンを好きでやっていますが、なかなかソナタ形式の作品というのに出会わない。さらに交響曲ともなれば、ヴァイオリンをやっていなければ接することができない。それではちょっとさびしい。ならば、自分なりにでも作りたい、演奏したい、そういう気持ちからですね。

——既成の交響曲をマンドリン・オーケストラ用に編曲するということではなく、ですね?

久保田:マンドリン・オーケストラを前提として、マンドリンを活かしたマンドリンの表現能力を聴いてほしいということを言いたくて。そういう気持ちです。ピアノの入る協奏曲形式の作品もそうです。

——ピアノとマンドリンオーケストラの為の幻想曲op18ですね?
(今年2月の第20回定期演奏会、第2部で演奏された作品。ピアノは夏川由紀乃さん。動画(▼)は、本番当日、紀尾井ホールでのリハーサル。この作品を含む「第20回定期演奏会」の高音質録音CDが8/20発売された。ぜひ聴いてほしい。)

久保田:そうです。作曲した当時、そうした作品に対する憧れというものもありました。
 しかしなんといっても、マンドリンのために書かれたマンドリンの響きによる作品。それがほしかったんです。
 同時に、マンドリン・オーケストラをやっているものとして、なんというか、そうした作品を創出する責任というか、そういう分野を充実させる、そういうことに気を配ることが、必要だと思ったんです。
 若いオーケストラは、つい新しいことへと目先を向けがちだと思うのです。そうしたものに興味がいくこともよいのですが、心安らかにマンドリンオケを聴く楽しみというのがあっていい。

——既存の古典作品はバイオリンオケによる名作名演が、既に耳馴染んでいます。だからマンドリンオケによる編曲演奏となると、意義をどこに見いだすか? 「演奏したい」ということの意義、意味も十分な理由だと思いますし、そこでマンドリン・オケの可能性を感じることもできると思います。でも、マンドリン・オーケストラを前提として最初から書かれた作品は、貴重だし重要だと思います。
 団員さんとしては、どんな思いでこの録音に臨んでいるんですか?

宮崎:今回、先生の全集を作るということに関しては、譜面はありますが、演奏で残っているものはないんですね。だから「残せる演奏」を目指しました。後々の人に、久保田先生の作品への想い、マンドリンへの思いを、具体的に残せたらいいな、と。

——久保田孝のスタンダード?

宮崎:これが久保田作品だ!というものですね。

大坪:企画した立場から言うと、先生の指揮、つまり作曲者の思い。「こういうふうに演奏してほしい」というのを確かな形で残したいということがいちばんです。

 このリハーサルの翌週、鴻巣文化会館大ホールで「交響曲第1番/久保田孝」の本番レコーディングが行われた。この作品のリハーサルから本番のようすを動画でもまとめたので、ぜひそちらもご覧ください。近日公開! クボタフィロの精度と情熱、久保田孝氏の作品=マンドリンに対する想いがあふれている! と思う。

 さて、クボタフィロは、秋に三重、徳島の地方公演を予定している。これらの準備、練習もあって忙しい夏を迎えている。6月には韓国公演にも行ってきた。年間を通じて、かなり動き回っている。メンバーは全員社会人。したがって、定期演奏会以外の公演はオケの規模も縮小せざるを得ないことも。しかし「フィロの生演奏を世界中の人に聴いてほしい」という強い思いが、久保田氏をはじめ、オケのひとりひとりに浸透している。クボタフィロ、今年後半の活動も注目!

【関連リンク】
クボタフィロ公式ホームページ http://www.philomandoline.com/
ピアノとマンドリンオーケストラの為の幻想曲 本番直前リハーサル