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マンドリン協奏曲3作品!カラーチェ、ドルマン、丸本。<br>井上泰信のアグレッシブな挑戦が 5/10京都で

マンドリン協奏曲3作品!カラーチェ、ドルマン、丸本。
井上泰信のアグレッシブな挑戦が 5/10京都で

 マンドリン協奏曲だけでプログラムを構成したコンサートが予定されている。5月10日、京都コンサートホールで行われる井上泰信マンドリンリサイタルだ(開演18:00)。
「マンドリン渡来120周年を記念して」と題し、弦楽アンサンブルとの共演によるマンドリン協奏曲が3作品プログラムされている。カラーチェ(マンドリン協奏曲第2番イ短調)、ドルマン(マンドリン協奏曲-2006)、丸本大悟(マンドリン協奏曲)。各作品は、初演2作品、本邦初演1作品。聴き応えと音楽内容への興味をかき立てる。氏自身フェイスブックに詳細を記している。

投稿 by 井上 泰信.

 井上氏に、この公演への意気込みとともに作品について、さらに聞いた。

——プログラムについて聞かせてください。3作品とも弦楽アンサンブル版となっていますが、そうした理由はなんですか?

井上:最初に、このリサイタルを企画した段階でどうしても演奏したかったのが僕と同じ年のイスラエル作曲家Dormanのコンチェルト。
 初めてAviの演奏を聴いた時の衝撃があまりにも強烈で、こんな素晴らしい作品が存在していた事に驚きました。僕の中では世界最高(最強)のマンドリン協奏曲です。

 そして今回の「弦楽オケとの共演」を考えた時に、普段オケバックで聴けそうで聴けない、ありそうで無いCalaceの2番と丸本君のコンチェルトを今回選んでみました。弦楽オケの場合、マンドリンと異種でありながらもバランス的には最適で、レパートリーも比較的多い(多くが古典ですが)にも関わらず演奏機会がほとんどないのが現状です。
「ManDream」の1枚目で京フィルさんと共演させていただきましたが、今回はすべてがオリジナルのマンドリン作品である事が大きく異なっている点です。

——各作品は近代と現代。またイタリア、イスラエル、日本という対比があります。井上さんの中で基調となっているものがあるように感じます。それはなんですか?

井上:基本的には三種三様、使用楽器も3台の予定です。ロマンティックなCalace、一種宗教的かつ現代的なDorman、日本人らしい優しさと”イマドキ感”のある丸本君の作品ですが、マンドリンを知らない人が聴いてもそのマンドリンの個性が伝わる作品を選んだつもりです。VivaldiやHummelのバロックや古典作品の名作ももちろん大切なレパートリーですが、今僕が演奏したい、聴いて欲しいと思うのはやはり「自分が好きな作品」です。

——協奏曲は、ソロ楽器とオケが交替で演奏する部分も多く、ソロ奏者にとってメリットが多いという意見を聞いたことがあります。井上さんの意見は?

井上:マンドリンをもっともマンドリンらしいと感じるのは、マンドリンでない楽器と共演した際に「同じパッセージ」を弾いた時に感じます。
 Dormanでも丸本君の曲でもそういった点で協奏曲らしい「競争」も見てもらえると思います。にしてもDormanはバックが難しい。もちろんソロもですが(笑)。

——カラーチェ~遠藤さん編曲は、芳醇な色合いが楽しめそうで、すごく想像力をかきたてます。pfとのデュオとは相当異なる印象なのではないでしょうか? 井上さんの弦楽版に対する印象を教えてください。

井上:実はこの協奏曲2番を管弦楽版で演奏したのは故・中野二郎先生なのです。実演を聴いたことが無いのですが・・・楽譜は残っています。その後川口雅行先生のリサイタルで弦楽四重奏版が演奏されました。

 マンドリンの「協奏曲」と称される曲はほぼピアノで演奏されていますが、実際には管弦楽版があって、その上でのリダクションになっているといつも想像しています。実際に演奏される機会がないから出版されなかったのは、やはり商品として魅力に乏しかったのかもしれません。
 実際に協奏曲をピアノで演奏するのと管弦楽で演奏するのは色彩感が大きく異なります。弦オケ版の場合色彩感は若干失われますが、音量・音域を含めた広がりや、ピアノでは表現しきれない「対旋律の鳴き」が聴けるのが魅力だと思います。

——丸本作品はARTEファン、丸本ファンにはお馴染みの作品だと思いますが、全楽章演奏ですか? また、思い入れもあると推測します。弦楽アンサンブル版にしたことによる 聴き所をひとこと教えてください。

井上:いわゆる「1楽章」のみのアレンジです。丸本君にはいつか3楽章をと依頼しています。彼の頭の中には構想がすでに完成しているとのことです。
 1楽章は石橋敬三君の演奏でよく知られているますが、彼が今、旬のアーティストとして大活躍している以上、師匠としては負けることは許されません(笑)

——今回の弦楽メンバーとやることになったいきさつは?

井上:様々なオケの世界の皆さんとも接点があったのですが、今回はあえて「次世代のスター」の皆さんにマンドリンを知ってほしいと思い、京都の誇る若き奏者の皆さんに共演をお願いしました。ベテランの味も魅力ですが、僕よりも一回り以上若い皆さんの感性が、今回のプログラムをアグレッシブに仕上げてくれると思い、今回の共演を依頼しました。

 最後にひとこと。
 全てのクラシック奏者の夢の一つに「オーケストラと協奏曲を弾きたい!」ことがあると思います。でも「マンドリン協奏曲」がオーケストラのプログラムに上がることは、ほぼ皆無です。曲の問題・奏者の問題・集客の問題・マンドリンという世界の問題・・・

 だったら・・・自分で企画するしかないのです!

 若いマンドリン奏者の皆さんにとって、僕自身が何かをアプローチできる機会として今回のリサイタルを企画しました。僕自身30代最後となるであろう今回のリサイタルで、何かを残せたらと強く思います。

■井上泰信マンドリンリサイタル
~マンドリン渡来120周年を記念して~

日時:2014年5月10日(土)18:00開演(17:30開場)
場所:京都コンサートホール 小ホール(アンサンブルホールムラタ)
  京都市営地下鉄「北山」駅下車徒歩3分
共演:京都市立芸術大学音楽学部卒業生による弦楽アンサンブル
入場料:一般3,000円 大学生・院生2,000円 高校生以下1,000円
チケットお問い合わせ:inouemandolin@gmail.com
プログラム
Raffaele Calace(1863 – 1934)
カラーチェ(マンドリン協奏曲第2番イ短調 作品144/弦楽アンサンブル版 遠藤秀安編曲)(初演)
Avner Dorman(1975 – )
ドルマン(マンドリン協奏曲-2006)(本邦初演)
Daigo Marumoto(1979 – )
丸本大悟(マンドリン協奏曲/弦楽アンサンブル版)(初演)